新規事業戦略で切り拓く成長への活路
こんにちは。ヘルスケアビジネス総合研究所の原です。
「どこかM&Aできる先はありませんか?既存事業は何とか維持できていますが、これ以上の成長は見込めそうにないんです。」
先日、ある経営者からこんな相談を受けました。
既存事業は緩やかに成長を遂げているものの、大きな売上アップにつながる要素が見つからない。そんな背景から発せられた言葉ですが、ここに、現代日本の多くの経営者が直面している課題があります。
2025年現在、多くの市場は成熟化し、イノベーションのジレンマに遭遇しています。既存製品・サービスのバージョンアップだけでは差別化に繋がらず、かえってコストが嵩んで利益が下がってしまうというものです。それはハイテク分野だけでなく、医療産業など景気に左右されにくい業種においても同様です。
さらにはグローバルの競争の激化、そして政治・社会情勢を含む予測困難な経済環境。このような状況下で、多くの企業が成長の壁に突き当たっているのも事実です。
成長戦略の切り札となる新規事業
一般に、こういった状況での打開策は2つあります。1つ目は先ほどの経営者さんが検討していたM&Aです。事業そのものを買収によって展開・拡大することは非常に有効です。
一方でM&Aの場合は、買収した後に課題が出てきます。例えば本業とのシナジーです。買収先をどのように我が社の社風に合わせるか、単に合併するだけでなくどのように事業価値を1+1を3以上にするのか、といった点は必ず出てきます。そして長期的に見ると、M&Aだけでは自社内にイノベーションに関する知見・人材がたまりにくいという点も問題です。人材やノウハウが流出してしまっては、せっかく買収した後にシナジーが形成しにくくなります。結果的にM&Aによる効果が一段落すると、また会社成長の伸び悩みが再発します。
他にも財務的な課題があります。最近十分な資金力を持つグローバルの大手企業は、最近の風潮として自社開発をやめてM&Aを繰り返すという作戦を取っています。オープンイノベーションの発展とともにこの作戦は成功しているのですが、中小企業の場合は財務や組織がそもそも異なっているためそのまま当てはめるのは危険です。
組織を活性化させる新規事業の力
そのような理由で、私はもう1つの打開策である新規事業創出の可能性に大きな期待を寄せています。というのも、新規事業は将来の会社の収益源として非常に重要です。それに加えて、長期的に見たときに企業全体を変革する強力な推進力となるのです。
例えば新たな分野へのチャレンジは、社員のモチベーションを大きく向上させます。特に若手社員にとって、新規事業は自身の可能性を試す絶好の機会となります。優秀な人材の離職を防ぐ効果も期待できるでしょう。
さらに、そのような人材が長く新規事業で活躍できるような会社の仕組みをつくれば、ノウハウや人脈が溜まっていくことで、同じような新規性の高い取り組みを行ったとしても、成功する期待値が年々高まっていきます。
こういったものがM&Aとは対照的に自社組織への投資となっていく訳です。
確かに、新規事業への挑戦には不確実性が伴います。しかし、成長の限界に直面している企業にとって、それは避けて通れない道でもあるのです。
重要なのは、自社の強みを活かせる領域を見極め、外部専門家の力も借りながら計画的に取り組むことです。その第一歩として、まずは社内で新規事業の可能性について議論を始めてみてはいかがでしょうか。
昨今、新規事業で着目されている分野はAI、宇宙、エネルギー、農業など色々ありますが、弊社では、特に医療分野における新規事業の可能性に注目しています。その理由は高い付加価値を生み出せる可能性と、市場の長期的な安定性です。高齢化社会の進展により、医療・ヘルスケア関連のニーズは今後さらに拡大すると予測されています。
このコラムでは医療・ヘルスケアビジネスに関係する情報やノウハウをお送りしています。
面白かった記事やためになった記事は、ぜひTwitter(X) / Facebookでいいね!と拡散をお願いします。また記事に関する要望と意見があれば、コメント、DM、SNSからご連絡頂けると嬉しいです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。