第469号 正月も働きたかった人達に喜ばれる会社でしたか?
「伊東さん、正月はお店を休みにすべきでしょうか?」
ある社長からの質問でした
理由は正月に他社の店舗を利用したから。
社長が利用されたのは2店で、どちらも同じチェーンの店舗。
1店目は、明らかに店員不足。多くのお客様を待たせてしまっている状態。イライラしているお客様もいらっしゃるほど
2店目は、「さぁお客様、準備万端でお待ちしてました。何人でもいらっしゃい」状態。十分な人数の店員さんが確保され、次々にいらっしゃるお客様をお待たせすることもなく、テキパキとした対応がなされていたのです。
社長が感じたことは
1店目では 「やはり休みにしていて良かった」
2店目では 「営業していた方が良かったのでは?」
店舗の社員やスタッフの心理に詳しい伊東さんの意見も参考にしたい、とのことでの質問だったのです。
私が気になったのは
「社長はどうしたかったのでしょうか?」
社長は
・正月は3年前から休むことにしたが、本音は営業していたい
・客数が多くなることがわかっているから
・しかし、正月も勤務にすると、社員やスタッフ達によく思われない
ここで私が話したことは
「社員やスタッフ達は正月は休みたいと、本当に思ってるんでしょうか?」
世間の流れを見ていますと、ついこう感じることがあります。
・365日営業が主流になってきた、だからうちもシフト制にして対応しようか
・営業時間を増やす会社が増えてきた、うちも人数を増やして交代制でやるべきか?
・また盆暮れ正月は休むチェーンが増えてきた、当社も休んだ方が良いのか
社員やスタッフ達は世の中の流れに敏感です。
自社の方針もそれに合わせた方が、社員やスタッフ達が喜んでくれるかもしれません。
しかし、・・・本当にそうなのでしょうか?
・盆暮れ正月はお店が開いていて当たり前の時代となってきたけど、「でも私は休みたい」と思っている人などいないと言い切れるでしょうか?
・逆に「どの店も休むようになったけど、私は働きたいんだ」と思っている人などいないと言い切れるでしょうか?
私が言いたいことは、
他社や他人がどうしてようが、社長は自分のやりたいことを掲げ、前進するべきである
なぜなら
この人についていきたいとなるリーダーとは、進むべき方向を示してくれて、それに沿った仕組みをつくっていける人だから。
・どこの飲食店もセントラルキッチンが主流なのに、わざわざ各店で調理するという手間がかかる店舗を展開していても、絶えず応募がある企業があります
・どこの小売店もきれいな商品陳列がなされているのに、段ボールのまま粗末に陳列していても、客数は減らず、利益を伸ばせていて、人手に困っていない企業もあります。
・どこの衣料品店も見栄え良く陳列しているのに、単に吊るしているだけでも規模を拡大していってる企業もあります。
重要なのは、
・リーダーがどうしたいのか?
・それに沿った仕組みづくりができるかどうか?
だからです。
例えば
正月も営業することに変えても、社員やスタッフ達を増やせていってる企業があります。
どうやってそれを実現したのか?
それは
社員やスタッフ達が「正月出て良かった〜となってくれるにはどうしたらいいのか?
社長がそれをとことん追求し、必要なものを1つずつ積み重ねていったから
です。
それまで社長は疑問を抱えていました。
「お盆や年末年始を休業にしたが・・・これでいいのだろうか?」
そうお考えになった理由は、こういった社員やスタッフの声を耳にしたからです。
「正月はやることがない。暇だから働いてたかった」
「家でじっとしてても家族にいいように使われるだけ。それよりだったら職場で汗を流していたい」
「休んで収入が減るのは困る」
「正月は太るから動きまわっていたい」
そこで社長はどんな考えで実現していったのかといいますと
「こんなのがあれば、正月も出てよかったーと言ってくれるんじゃないか?」
「もっとこれを、こうしたらどうだろうか?」
「それはダメだったのか、じゃあやめようか」
「そっちは?・・・うまくいってる?」
「そうか、つまりこんなのもアリかもしれないね」
このように、必要なものを自ら考え、1つずつ創り上げていったからです。
ただ、うった全ての一手がうまくいったわけではありません。
「これは絶対イケる」といった一手が最悪な結果につながってしまったり、
何気なく作ってみたコトに想定以上の反響が得られたり。
生み出しては破壊し、作り直しては改善し、コツコツと社長の考えを具現化していったからです。
その苦労の先に待っていた、社員やスタッフ達からの声とは
「正月は働けてよかった」
「社長、私の本音を打ち明けますが、正月は家にいたくなかったんです!」
「前まで正月に休んでいる人は非常識だとイライラしてたが、そんな思いが無くなりました」
「私は正月は休んだけど、後ろめたさを感じることがありませんでした」
会社を稼げる体質に変えられる社長には特徴があります。
それは
「そんなところに答えなんかないでしょ」と呆れられる道をなんとしてでも見つけ出す人です。
もしくは、道を見つけられなかったとしても自分で切り開き、新たに道を通したりします。
■社員やスタッフ達は本当に正月は休みたいと思っているのでしょうか?
■社長が今直面している課題を解決するための選択肢は、本当に目に見えているだけでしょうか
■他の選択肢は無いと言い切れるでしょうか?
■もしかして、他の選択肢を自ら創りあげるというルートがあるのではないでしょうか?
確実に言えることは、他社が見つけられなかった道、もしくは自社だけが自ら切り開いた道にはライバルがいないということです。
その独自ルートをひた走る企業は、他社との成長スピードが全く違います。
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