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協業がもたらす競争力

SPECIAL

オルタナティブ経営コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

 このところ、特に循環経済の社会では良く「協業」に関する事案について耳にすることがあります。その中には後継者不足によるM&Aがあるかと思えば、都道府県を跨いだ事業展開の拡大を志向した事例もあり、事案によって協業の背景は様々です。

 日本経済全体が、人口減少と高齢化で縮小傾向にある中、もしかすると協業の促進は全ての産業にとって商売を畳んで行く中で、時代的に共通の課題なのかもしれないのですが、循環経済の世界ではまだどちらかというと積極的な「広域化」「高度化」と言った文脈で語られることが少なくないと認識しています。

 そのような場合、協業によって獲得できる新たな商圏や、追加的な経営資源の活用など、規模の経済を拡大する側面が強調されがちですが、人材の活用や技術開発など、質的な面でもレベルアップのチャンスになることが少なくありません。

 垂直統合的なM&Aを果たされた某事例について言えば、買収された方の会社が業界のパラダイムを根本から変えるようなシステム開発を手掛けており、買収した企業のビジネスモデルにも少なからぬ影響を与える可能性が指摘されているという事案があります。

 このような場合、統合発展後のパラダイムは必ずしも買収したもの・されたものというような立ち位置で決まることはないように思えます。むしろ、M&Aを通じて新しいシステムをより効果的に活用できる体制が組めた、というウィンウィンの結果になったと評価されるべきなのだろうと思います。

 逆に、後継者不足で仕方なくM&Aされた企業の例にも接しているのですが、買われた企業側に買収側の要求条件を消化できるだけの管理能力が必ずしも備わっておらず、社外から管理能力を買って来ようという話になった事例がありました。

 生憎昨今の人手不足と会社の低い収益率に加えて、買われた企業側には高齢の元オーナーが名目上の社長として残っているため、なかなかそこへ割って入ってくれる人材も見つからず、時間ばかりが過ぎて行くという状況になっていました。

 その後の展開については承知していないのですが、せめて買収の意思決定をする前に「どのような協業がどのような競争力をもたらすのか」に関する分析ができなかったものかと思います。そうすれば、どのような市場を狙えてどの程度の売り上げを期待できるかなど、目標とすべき数字の計算もできたのではないかと思われます。

 会社の未来を考えることは全経営者にとって共通の責務であることに間違いはありません。その中ではぜひ、協業がもたらす競争力を可視化して、目標となる数字を導き出して頂けたらと思うところです。

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