後継者が覚醒するとき
先日、ある商工会青年部から講演依頼をいただいた。タイトルはお任せするということなのでいろいろと考え「後継者が覚醒するとき」とさせてもらおうと思っている。ご依頼いただいた講演時間が1時間だという。
短い時間なので多くは語れない。多くは語れないが大きく強いインパクトがある話をしてみたい。後継者には後継者ならではの共通した悩み、問題がある。それらの悩み、問題の実相を語り、その原因と理由を解き明かそうと考えている。
まず初めに彼らに話したいことは、後継者が先代の跡を継ぎ経営をするということは世間が言うほど簡単なことではなく、実はとても難しいことなのだということだ。後継者なら誰もが一度は言われたことがあるだろう。「ええよなお前は。親父の会社があって」と。
私自身が後継者であったのでそれに近い経験は何度となくしている。父親の会社があるということ、社長の息子だということで子供のころから誰彼となく近所の人たちからも「坊ちゃん」、「二代目」と呼ばれたり、なにかと揶揄されたりしていたものだ。
後継者として仕事をし始めたころも仕事関係以外の世間一般 の人たちからはそういう目で見られていたことを覚えている。若い頃はそういう世間の目に対し必要以上に意識し反発していたものだ。
創業と事業承継とどちらが難しいかということでなく経営をし続けるということではどちらもとても難しい。ただ、創業者にはない後継者ならではの苦労が多くあることは事実だ。人・物・金という経営資源を含むビジネスモデルを引き継げるのだから楽だろうと世間はいう。
ところが、先代が雇用した人材には当然優劣があり高齢化が進んでいる。先代が起こした事業は経年劣化を生じ陰りが見えている。さらに、財務状況は売り上げが低迷し利益が出せない状況が続いており金融機関の見る目が年々厳しくなっている。
経営のプロが引き継いでも難しいだろうと思われる企業を多くの後継者が実はよく分からぬまま経営を引き継いでいる。財務内容がいい企業であろうと今のような経済状況のなかではいずれ様々な問題が起こるであろうことは容易に想像される。
創業には創業の難しさがある。企業を継ぐ事業承継にはまた違う難しさが多くある。そのことを継がせる方も、継ぐ方もともに知っておいて欲しい。特に後継者は自分がやろうとしていることは決して容易なことでなく本当に難しいことをやろうとしていると覚悟して頂きたい。
次に、後継者と父親との関係性について話そうと思っている。多くの後継者が父親との関係が上手くいかず悩んでいる。そもそも世の中の父と子の関係が上手くいっている親子の方少ないのが現実だ。
ただでさえ難しい父と子の関係なのに、父親の会社に入って父親の跡を継ごうとしているのだからいろいろと問題が生じるのは当たり前のことなのだ。まずはそのことを理解してもうらおうと思っている。
父と子の関係が厄介なのには理由がある。その理由を話したうえで、父と子の関係性をどのようにすれば改善させることができるのかについて話したい。後継者にはやらねばならないことがたくさんあるのだから父と子の関係で悩ますには時間がもったいない。
最後に話したいことは、後継者であろうと経営交代を経て一旦経営者となれば他の経営者と同じ土俵で勝負することになるということだ。1年目であろうと2年目であろうと関係なく、業績の結果が経営者への評価のすべてとなる。
昨今、多くの企業が業績不振で喘いでいる。長年運営してきたビジネスモデルが経年劣化を起こしている企業が多くある。親子経営企業でも先代のビジネスモデルがいたるところで破綻し始めている。
多くの後継者が今そのような状況の中で苦しみ悩んでいる。既存のビジネスモデルを見直し刷新することが求められている。後継者が自らの手で新たなビジネスモデルを創り上げるチャンスだと前向きに捉え、やり抜くしかない。
以上3つのことを1時間で話そうと思っている。後継者が事業承継で経営を引き継ぎ経営していくことは企業、創業以上に難しいのだということ。父と子の関係が厄介なのには理由があるということ。後継者が新たなビジネスモデルを創り上げる必要があるということ。
当日は、私の講演を聴いてくださる後継者のひとりひとりの心に届くよう、全身全霊から言葉を発しよう。一人でも多くの後継者の現状認識に変化が起こり、前向きな意欲が少しでも湧き上がってくれることを願いながら話をしよう。
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