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「信頼の前貸し」で中長期の収益を最大化する

SPECIAL

トラスタライズ=信頼を対価に変えるコンサルタント

トラスタライズ総研株式会社

代表取締役 

企業の「信頼を対価に変える」専門コンサルタント。独自の「トラスタライズ手法」を用いて、見えない信用や信頼を、目に見えるカタチに変え、対価へと変えることで多くの経営者から注目を集めている。企業経営において社会・顧客双方の価値の創出が求められる時代にあって、「信頼」を切り口に、顧客企業が売上・利益を向上させられる手法の研究・提言を行っている。


取引の初期段階で、戦略的に価値提供・信頼構築を収益獲得よりも先行させることで、その顧客からの長期的な利益を結果的に高められる可能性があります。

「最初の取引は、ほとんど利益になりませんでした。でも、そこでとにかくお客様への価値提供に注力して当社のサービスの価値をわかって頂けたことで、今では大切な主力顧客になっています」

あるサービス業を営むK社長は、集客が上手くいっていなかった頃、無償に近い状態でもまずは顧客を獲得することを優先したそうです。事業の初期であれば誰もが考えるこの方法ですが、実際に実行するのはなかなか勇気がいることです。それでもK社長は見事成功させ、いまでは年商10億円に迫る規模まで事業を拡大させています。取引の最初に、収益よりも信頼構築を優先させることで、結果的に長期の収益拡大を実現しました。

「信頼」は、企業の提供価値の確からしさを高め、顧客が支払っても良いと思える対価を引き上げる重要な要素です。そして、この信頼を得るためには、時に収益を度外視してでも、価値を提供する姿勢が必要になることがあります。ビジネスの初期段階で行うこの「信頼の前貸し」が、後々の大きな成功を生むことがあるのです。

本コラムでは、このような「信頼の前貸し」が効果を発揮する状況と、それを成功させるためのポイントを解説します。


■「信頼の前貸し」がもたらす効果

初期の段階で信頼を築くことは、いわゆるフロントエンド商材とバックエンド商材が明確に分かれているビジネスで特に効果を発揮します。たとえば、初回限定の格安サービスを提供して、その後、追加のサービスや商品を提案するようなモデルがこれに当たります。

注)フロントエンド商材:顧客が初めて購入する商品・サービス。集客を目的としており、充足するニーズが明確なものや低価格のものが多い
バックエンド商材:フロントエンド商材を通じて取引関係を確立した後に提供する、本格的な高価格商品・サービス

この戦略が成功する理由は、端的にいえば顧客が取引を開始する際に感じる「この企業を信頼していいのだろうか?」という不安を軽減できるからです。

初期の取引を通じ、顧客はあなたの会社を「きちんと約束通りの取引を実行できる会社」と認識します。もちろん、初期の製品・サービスを利用することで、顧客が期待以上の非常に高い便益を得られればベストではあります。しかし残念ながらそうならなかったとしても、少なくとも顧客が期待したものをその通りに提供できる会社であると認識されることは、将来の取引において大きな意味を持ちえます。自社にとっての信頼の土台を築くことができるのです。

一定の知名度・ブランド力を有する大企業の場合には、多くの人が利用している、という実績をもって、はじめからこのハードルをクリアできます。しかし中小企業の場合にはこれは難しいことが多いため、小さくともまずは一度取引を経ることで、信頼の形成に大きく寄与するのです。

また、この信頼をもとに、顧客がさらに高い対価を払ってでも追加の取引をしたいと考えるようになることもあります。たとえば、体験版のソフトウェアを利用した顧客が、その効果を実感し、フルライセンス版を購入するケースが典型的です。

一般的に、「信頼」は単に感情的なものとして捉えられがちですが、より突き詰めれば「この企業なら確実に価値を提供してくれる」という期待値の総和であるとも考えられます。これをいかにして高めるかが、「信頼の前貸し」戦略のポイントになります。


■「信頼の前貸し」を成功させるポイント

信頼を構築するうえで重要なのは、初期の信頼構築の先行という戦略的な打ち手が「単なる値引き」や「安売り」で終わらないようにすることです。ここで求められるのは、顧客が取引を通じて「この企業には何か期待できる」と思わせる体験を提供することです。

たとえば、あるコンサルティング会社では、初回のセミナーを無料で提供しました。その内容は具体的かつ実行可能性の高い示唆を含むもので、セミナー参加者の半数以上が追加コンサルティングを依頼する結果となりました。このように、初期段階で提供する価値は、顧客が「この企業なら信頼できる、依頼をする価値がある」と思えるレベルのものである必要があります。

また、注意すべき点もあります。初期の価値提供が過剰になりすぎると、顧客のなかで相場観が形成されてしまい、その価格や条件を「標準」として捉えてしまうことがあります。同じ内容を継続的に販売する場合、後から適正価格に戻すのは非常に難しくなります。たとえば、信頼構築を狙って割引価格で提供した商品と同じものを、次回から標準価格に戻す場合には、顧客の側から「高い」と受け取られるリスクは高まります。

この意味で、初期の信頼を築くためのフロントエンド商材と、収益を得るためのバックエンド商材が明確に分かれている方が、前貸しした信頼からの収益の回収はしやすいともいえます。ただ、商材間のつなぎがうまくいかない場合、初期の前貸しが単なるコストで終わってしまうことにもなります。そのため、初期の取引の先にどのような価値を提供したいのか、そしてそこから次の取引をいかに確度高く提案していくのかを予め明確にしておくことが重要です。

今回ご紹介した「信頼の前貸し」という戦略は、短期的な収益を犠牲にしながらも、顧客との信頼関係を早期に築くことができる強力な手法です。この戦略を成功させる鍵は、初期段階で顧客に確実な価値を提供すること、フロントエンドとバックエンドのつながりを明確にすることです。

最初に築いた信頼が顧客との関係性構築・進化につながり、その後の取引において大きな成果をもたらし続けるようになります。「信頼」を長期的な成長の土台として早期に作り上げ、自社の新たな成長の道を切り拓いていきましょう。

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