社員が計画通りに成長する会社と、そうでない会社の違いとは?
先日、とある会社の専務とお話する機会がありました。その方は次期社長候補と目され、組織を担うリーダーとしての自覚と熱意が滲み出ていました。会話の中で、専務は満足げにこう語りました。
「今年の新卒社員、ほぼ全員が10月には一人立ちして戦力になっています。この成長スピードには正直驚いています。」
多くの企業にとって新卒採用の目的は、単なる短期的な戦力化ではなく、将来的に会社を支える存在を育てることにあります。それでも、新卒社員が早期に一人立ちし、貢献を始めてくれるのは、企業にとって大きなメリットです。以前は1年半から2年かかっていた一人立ちのプロセスが、この会社では3~4倍のスピードで進むようになったのです。
なぜこの会社では「早期戦力化」が可能になったのか?
新卒向けの教育プログラムやカリキュラムを導入している企業は少なくありません。しかし、それらが必ずしも成果を上げているとは限りません。その原因はシンプルです。多くのプログラムが「教育」を目的としており、「戦力化」を目的にしていないのです。
例えば、知識を教えるだけでは社員の成長には直結しません。知識は頭の中で完結しますが、成果を生み出す「智恵」には実体験が必要です。この会社では、新卒社員が「他人に教えられるレベル」を基準としており、この仕組みこそが圧倒的な成長スピードの秘訣なのです。
マニュアルの列挙では「戦力化」できない
多くの企業では、新卒プログラムやカリキュラムが単なるマニュアルの要約に終始しています。しかし、これでは期待する成果は得られません。この会社も、かつては同じ過ちを犯していました。大きな転換点となったのは、「社員の成長設計図」を導入したことです。
この設計図は、教育だけでなく、日常のマネジメントにも活用されています。役員から課長職に至るまで、全社員が設計図を活用し、社員一人ひとりの成長を「設計」する仕組みを構築しました。その結果、組織全体で必要な要素が明確になり、効率的な育成が可能になったのです。
新卒だけでなく中途社員にも効果を発揮
この成長設計図の効果は新卒社員だけにとどまりません。中途社員にも同じように適用され、以前は「試用期間終了時でも即戦力化しているか不明」という状態が常態化していたのが一変しました。現在では、中途社員も採用直後から即戦力として活躍できるようになり、会社全体の生産性が大幅に向上しています。
経営課題に直結する「成長設計図」の価値
社員の成長は、組織の未来そのものを左右します。人手不足が叫ばれる中、採用した社員をいかに早く、確実に戦力化するかは、経営課題の中でも最優先事項です。この成長設計図こそが、短期的な成果と中長期的な組織の強化を同時に実現する「特効薬」となるのです。
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