第462号 社長の目の届かない所で、部下を酷使する人が現れてしまう企業の共通点とは?
「退職したいという相談を無視し続けていた」
あるチェーン企業の事例です。
相談自体が異例の事なのに、なぜ上司はそれを無視していたのか?
判明したのは、その上司が部下を酷使していたから。
いざ退職理由を聞くとなった際、もしかしたら自分が原因となるのではないか?
会社にバレると、自分が処分される。
そうなってはマズイから「泣き言を言うな」という体を取り続けよう。
うまくいけば、黙って働いてくれるだろう。
そんな考えがあったからでした。
部下の悲痛な叫びよりも、自分の保身を優先した。
会社はそんな卑劣なリーダーを生み出してしまっていた、ということです。
店舗という形をとってビジネスをされている企業の社長にとっては、
この問題を他人事として捉えるのは難しいのではないでしょうか?
ある社長からこんな質問をいただきました。
「伊東さん、どうも私の見えない所で従業員に無茶をさせている人がいるようなんです」
「どういった原因が挙げられますか?」
店舗ビジネスにおいて、これまで何度対策をうってきても部下を酷使する人が現れ、犠牲者が出てしまう。
そんな課題を抱えている社長もいらっしゃるのではないでしょうか?
私がそう言えますのも、店舗とは人に関する問題が発生しやすい場だからです。
会社経営者とは離れた場所に存在していますし、そこで働く人達の勤務時間や曜日も異なっているケースが多いからです。
人の問題の解決は、時間が勝負です。
社長が長い間、気が付いていなかったとか、わかっていたけど有効な対策がうてないままだった、などは危険です。
問題は次第に悪化し、人から人に伝播し、会社の業績に響いてきます。
よって私のオススメは「問題の解決を急ぎましょう・・・」ではありません。
それよりも早い、「どんな問題が起こりうるのか? 想定し、先手をうっておく」です。
では実際に店舗ビジネスにおいて、こういった「社長の望まぬ過度な締め付けを繰り返す社員が現れてしまう」というケース。
どのような原因が存在し、対策をうっておくべきなのか?
実は、そんな企業に共通点があります。
それは、社員、スタッフ間において
「ただ単に動き回っているだけで『あいつは頑張ってるな』と見てもらえる風習がある」
「結果を出さずとも、手や足を動かしていればOK」
という会社です。
つまり、仕事の1つ1つを単体で考えてしまっている形です。
そもそも企業とは営利を追求する集団です。
仕事の最終段階のZのフェーズにおいて利益に変わるとしたら、働く人達には
「私達は重要な最初のフェーズであるAやBの仕事をしている」
という一貫性が備わっていなければなりません。
実際に、誰もが利益という結果に結びつけようと、自分ができることに一生懸命になっている企業の粗利率は高いです。
しかし、残念ながら店舗型のビジネスで働いている人の意識として多いのは
「私の仕事はこれをやっていればいい」
「あとの事は知らない」
そんな、ブツ切り的思考です。
これは
「連携しなければ」とか、
「次の人のために」といった、一貫性が薄れてしまっています。
よって、私が店舗ビジネス企業の社長にオススメしていることは、
社内で働く全社員、全スタッフが
「全ての仕事は、最終的には必ず利益を得るようになっている」と自ら認識され、「ではもっとこうしたらどうだろうか?」などと、
自動的に深掘りされていく形にしておく
です。
ここで念押ししておきたいことがあります。
私がそう強くオススメしたい理由は、もちろん会社の業績を上げられるからではありますが、実はそれが一番の理由ではありません。
一番の理由は、ブツ切り仕事が社内に常態化していますと、犠牲者が増え続けてしまうからです。
ブツ切り仕事は何も
「私の仕事はこうすればいいだけ」
「あとは知らない」
といった、個々の閉鎖的空間で発生し、その枠内だけで留まるだけではありません。
最も危険なのは、その考え持ったリーダーが現れることです。
そんなリーダーは、平気でこのような事を繰り返します。
・利益にはならず、自分の株を上げるだけの無駄な仕事を部下に押し付ける
・いざ、仕事の方向性を会社から指摘された場合「それは部下が勝手にやったことです」と逃げる
さて、そんな困った上司の指示を日々受けている人達はどう思っていることでしょうか・・・?
また、本気で「会社のために頑張りたい」と考えている人の上司が、このようなことを繰り返していると、どうなってしまうのでしょうか?
社内の全ての仕事は必ず利益につながっています。
重要なのは、各部署のリーダーはもちろん、全社員、全スタッフがそれをきちんと理解し、自分の役割を果たせているか。
徹底できている企業は、利益率が高いのはもちろん、人に優しい組織を実現し、維持できるということです。
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