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子供のサッカーになっていませんか?

SPECIAL

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりコンサルタント

株式会社プロジェクトメンターコンサルティング

代表取締役 

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりの専門家。大企業において情報制御システム及び量産製品の設計・開発に携わり、SE及びPMとして約25年にわたりプロジェクト運営・管理を経験。
システムは列車の運行管理、河川管理、ダム制御、衛星画像データ処理、医療分野、セキュリティ分野等幅広く、官公庁案件から民間案件まで性格の違う数々のプロジェクトを成功に導く。関わったプロジェクトは300以上。

 プロジェクトには計画との偏差は付きものであるし、数多いプロジェクトの中には適切なタイミングで手を打てなかったことにより大炎上してしまうものも時には発生します。プロジェクトマネージャ(PM)として、あるいは複数のPMを統括する立場の者として、大炎上したプロジェクトに対処する場合に冷静になって注意しなければならないことがあります。

 それは「子供のサッカー」になってしまわないことです。「子供のサッカー」とはどういうことかというと、一つのボールを全員で追いかけてしまうことです。ただし、最近のサッカーに興じる子供たちは、昔の様にいきなり野原でボールを蹴り始めるのではなく、教室やクラブに参加してフォーメーションやポジショニングを教えられるので、無闇にボールを追いかけることはない、とあるサッカー少年のお父さんから耳にしました。なので一昔前のレトリックとご理解ください。

 さてこれは、炎上しているプロジェクトの現場においてどの様な状況を表しているかというと、プロジェクト内で炎上の火元となっている問題に、複数の人間がお互いの意思疎通なく取り組んでいたり、炎上しているプロジェクトに対し、他のプロジェクトを担当していたメンバを安易に増員したりすることです。

 炎上中のプロジェクトのPMは、問題への直接の対処や上司を含めた関係部署とのやりとりに忙殺され、全体をコントロールできない状況に陥りがちです。そうすると、メンバに割り振ったタスクの見直しに目が行き届かず、火元の問題に誰が責任を持つのか曖昧なまま、複数のメンバがバラバラに原因追求に没頭している様なことになります。

 この状況は一時的には必ずしも否定されるものではありませんが、問題解決まで長期間に渡る様な場合であると、フリーランさせるよりきちんとアプローチの役割分担を決めて対処した方が効果的、効率的です。

 さらに、炎上中のプロジェクトを担当するPMの上位管理者は、当該プロジェクトを鎮火させるために他のプロジェクトから一時的にメンバを抜いて応援に回らせることがあります。ここは、上位管理者の資質が問われるところです。管理者が鎮火させるには増員するしかないと安易に考えていると、メンバを抜かれた他のプロジェクトにおいて将来の問題の種が植え付けられ、後で数倍のトラブルになって返ってくることになるかも知れません。残念ながら、”人”を動かすことが自分の役割で、それで問題に対処し仕事したつもりになっている管理者が存在するのが実態です。

 上位管理者としては、必要ならPMを支援してプロジェクトの現場に入り込み、問題の”本質”を理解して適切な手を打てる判断力が求められます。

 ただ増員すれば良いというものではありません。新しいメンバを加えるということは、加えた当初は他のプロジェクトメンバに負担を掛けてプロジェクトを遅らせることになるからです。それでもプロジェクトが許容できる期間内において、追加メンバが成果を上げ問題解決に繋がれば良いものの、当人の得意とする領域でなかったために目立った貢献ができなかったということもあり得ます。

 場合によっては、炎上の範囲を当該プロジェクトに留め、他のプロジェクト体制には手を付けない、という判断も必要です。上位管理者自身が「子供のサッカー」を演じてしまわず、組織の”全体最適”という視点を忘れてはいけないということです。

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