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工場を自動化する経営ポイント ~組織を変革するのはだれ?~

SPECIAL

工場の自動化経営コンサルタント

株式会社さくらブルー

代表取締役 

 社長不在でも社員だけで現場が回る仕組み構築により、社員だけで利益を出す「工場経営の自動化」のノウハウを提供する、経営コンサルタント兼2代目工場経営者。工場経営の傍ら、がんばる中小工場経営者向けに、経営コンサルタントとして工場経営の指導を行う。「工場経営の自動化」により、現場は社員に任せ、次のビジネス展開に専念する経営者を多数輩出。

ある工場の工場長との会話です。

「最近、○○党の総裁選挙のニュースばっかりですねー。蓑原さん誰がいいと思います?」
とてもざっくりとした質問でした。
我々の生活が、この人になるとあーなってしまう、あの人になるとこーなってしまうなど、なんとなくイメージがわいているのではないかと思いますが、どの主張も誰が総裁になってもよいところも悪いところもあり、どうやって決めればいいのだろう?という状況なのではないかと想像しました。

この状況、社内でも起こっているように思います。
会社の社長が○○党の総裁に当たり、工場長は幹事長でしょうか。社長のビジョンや方針を理解し、それに沿って工場長は現場をまとめていく。総裁と幹事長もこのような関係性ではないでしょうか?ただ、幹事長にはお金を融通する大きな権限があるんでしょうね。それが原因で金権政治とか言われる問題も起こっています。
その問題はさておき、実は工場長も「評価」を通した「給与」で現場の社員をまとめていたりします。社員にとっては生活の質を左右する重要なことです。これに私情が挟まると問題になりそうですね。

総裁選挙では、前総裁が退くことを明言していますので、次に新しい総裁が就くことは確実です。立候補する本人だけでなく、投票する側の人たちも、総裁が変わることを受け入れています。と同時に、方針やビジョンが変わるかもしれない、評価基準も変わるかもしれないので目先の実務までが変わるかもしれないことも受け入れていることと思います。この状況下であれば、良くなるか悪くなるのかはともかく、組織改革が起こることは間違いありません。会社に当てはめると社長も工場長も、その下の管理職も総替えになるのです。

一方で、会社ではどうでしょうか?
まず、社長は退くことを宣言しているでしょうか?宣言といっても、「いつかは・・・」のような歯切れの悪いものだと、会長に退いても代表権を持っていたり、株式はしっかり持っていたりして、多くの場合「いつかは」来ません。

工場長は次期社長でしょうか?それってどうやって決まるのでしょうか?多くの中小企業ではその仕組みがなく自動的にご子息へ、ということが当たり前になっていて、社員のみなさんもそれに特に異を唱える者もおらず、でも愚痴や不満は飛び交っていたりします。

それとも下克上ばりに、若手社員が社長になりたい!って名乗り出るような、威勢の良い者がいるでしょうか?そこまではしなくとも、現状に満足していなかったり、変わってほしいと思っていたりしますので、現状に満足している古参との戦いになります。

どのパターンでも、なにかしらの揉め事が起こることは容易に想像できると思います。そのことをわかっているので揉め事が起こらないように波風を立てないようにして現状を維持している、今まで通りの愚痴を言っているまま数年経過する、という状況が一番危険な状態だと考えます。

また、威勢のいい若者がいたとしても、その人任せでよくなるとは思えません。若者の意見を、現社長、工場長、古参等対立することが考えられる人たちがすんなり聞いてくれるはずがありません。聞いている体裁になるように取り繕うでしょう。

このような想像をしていくと、ホントに組織改革を行おうとする場合の道筋は、ある程度絞り込まれてきます。
社長交代する際のルールと次期社長への引継ぎ内容、これらはあらかじめ明確にしておくことができます。
やってみないと分からないこととしては、人がどのように動くか、反応するか、というところではないでしょうか。ただし明確に言えることは、①新社長は発信力のある変革リーダーであること、②長くこの会社で働きたいと思う若い社員がいること、③新社長と変革を望む社員との間、新社長と変革を望まない社員との間、変革を望む社員と変革を望まない社員との間、それぞれのコミュニケーションをうまく調整する人材、この3つは必要です。

事業承継をした若い社長が苦しむのは、おおよそこのあたりの内容が全く不明なままがむしゃらに取り組んでいるからではないかと思いますが、自分を振り返ったとき、信頼を得るためには、とにかくがんばってがむしゃらに率先垂範することしかできなかったように思います。

さて、総裁選は誰が勝つのでしょうか?また、裏ではどんなやり取りが行われているのでしょうか? 中小企業のそれとはレベルが違うこととは思いますが、人対人のやり取り、だれかの立場になったときに考える相手の立場、どのような仕組みの中での出来事なのか、発信するタイミングや内容の背景、発信時の表情などなど、我々にも参考になることが多くあるように思います。

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