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海外ビジネスで成功する個と組織とは? ~日本組織に欠けていること~

SPECIAL

東南アジア進出コンサルタント

KJグローカル経営事務所

代表 

国内企業向けの、東南アジア市場進出の戦略・実務コンサルタント。大学卒業後20年以上の間、メーカー・商社・公的機関にて海外ビジネス(主に東南アジア・中国)に従事。東南アジア市場におけるマーケティング・拡販業務を成し遂げた後、大手自動車関連メーカーにて同社中国初の販売会社(ディストリビュータ)を立ち上げ、人事・財務・企画等の管理部門の統括などを歴任。その後、食品/アルコール・伝統工芸品・医薬品/医療機器など多岐に亘る業種のアジア市場開拓支援を経て、2018年にKJグローカル経営事務所を設立。現在同社代表。

    ビジネスにおいても日常生活においても交渉には2種類存在します。1つは、他の者を交えない1対1の「バイラテラル(Bilateral)交渉」。もう1つは、3者以上の複数間で行う「マルチラテラル(Multilateral)交渉」です。さまざまな意見がありますが、「日本人はマルチラテラル(Multilateral)交渉よりも、バイラテラル(Bilateral)交渉に相性が合う」と私は考えています。この見解について、今回は述べていきたいと思います。

 海外で生活したことがある方なら思い当たる節があると思いますが、外国人から「日本人は何を考えているか分からない」と言われたことはありませんでしょうか?  特に、大人数による会合に参加した際に、そのような声をよく耳にします。一般的に、その理由として「日本人の奥ゆかしい性格」が挙げられますが、私はその意見には否定的です。むしろ、「ものごとに対して、自分自身のスタンスを明確に規定していない」からだと認識しています。例えば、会合のトピックが「自身の政治的スタンス」や「自身の環境問題に対するスタンス」となった際、明確に自身のスタンスについて即答できる日本人はどれぐらいいるでしょうか? お国柄によっては、ほとんどの国民が自身のスタンスについて日常から意識的に話題にし、周りの人々に発信しています。私の実感では、そのような意識を持つ外国人は日本人よりも圧倒的に多い印象です。

 では、なぜ他の者を交えない1対1の「バイラテラル(Bilateral)交渉」では、それが問題になりにくいのでしょうか? その理由は、1対1の2者間による交渉では、相手側の矢印(意識や注目)が日本人である我々にのみ向いているため、「自らのスタンスを話しながら自省し、見つけ出す過程(スタンス探し)」に相手側もつきあってくれる【時間的余裕】が存在するからです。大人数による会合においては、相手側の矢印は全参加者に向いており、誰も我々の「スタンス探し」につきあってくれません。我々が即答できなければ、「他の誰か」が自身の意見について、堂々と述べ始めるでしょう。「マルチラテラル(Multilateral)交渉」においては、その場で考えている暇などないのです。

 これは個人レベルにのみ当てはまる話ではありません。海外ビジネスを展開したい「日本企業」にも言えることです。これまで国内市場でのみ戦ってきた日本企業が海外市場へ出ていくことは、手つかずのジャングルに飛び込んでいくようなものです。そこには未知の集落(会社)や村人(消費者)が混在しています。道中でたまたま出くわしても、誰も見知らぬ新参者(日本企業)と腰を落ち着けて話などしてくれないでしょう。腰を落ち着けて「1対1」でゆっくりと話せるようになるには、まず「自らが何者であるのか?」「自らが、この地にどのように関わっていきたいのか?」という【スタンス】を明確にし、他者からも分かる形で表出することが必要なのは言うまでもないことです。

 それでは、海外ビジネスを展開したい「日本企業」は、具体的にどのようにすれば良いのでしょうか? 自社以外の「第3者」からの指摘に耳を傾け、自社のブランディングや自社製品(商品・サービス)のコンセプトを強化・発信していく以外に近道はありません。自社では「できている」と考えていることでも、想像以上に外部には伝わっていないのです。中期的視点で、海外企業にも確実に響く「強い個性」を貴社に植え付けませんか? 魅力ある未知の海外市場に出ていくためには、誰にでも分かる「強い個性」が必要なのです。

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