第460号 数字を出せる店長ほど、大きなミスをしがちになる理由
店舗という形を持つビジネスにはこんな傾向があります。
・数値結果を出してきている店長ほど、大きなミスをおかしてしまう。
ある企業の例です。
これまでどの店長よりも、数字を挙げられてきている優秀な店長がいました。
彼はきっとのし上がっていく。他の社員からそんな目で見られていた彼は、ついに念願だったマネージャーへと昇進したのです。
店舗から卒業し、憧れの本部勤務。
心機一転「さぁ今までの現場の経験を生かして、またバンバン結果を出していってくれ」と新しい門出を多くの人から期待されたのですが、
その数日後、なんと店長時代の管理の不備、不徹底が次々と発覚したのでした。
「ははぁ、管理がいい加減だったから、その分数字UPに時間が割けたのか」
「それがまかり通るなら誰でもできるでしょ」
まわりからの目は一転。
この例のように、店舗という形を持つビジネスにおいて、
「優秀な店長ほど大きなミスを犯してしまう」
といったことはしばしば発生しています。
・なぜなのか?
・またどうしたらそれを防ぐことができるのか?
今回のコラムはそんな内容ですが、結論から先に言いますと
それは
「ミスや不正が無いか、チェックしても従業員達のヤル気を損なわない工夫」が、社内に存在しないからです。
ここで2点質問です。
Q:貴方がある組織のリーダーだったとしたら、普段からバンバン結果を出してくれている人に対して
「君の仕事に、ミスや不正が無いかをチェックする」
など、面と向かって言えるでしょうか?
Q :また、それを言われた本人はどう感じることでしょう?
責任ある店長として怖いのは
スタッフの仕事ぶりにミスや不正がないかチェックしようとしたら、本人の気分を損ねてしまい、それ以来がんばってもらえなくなった・・・
です。
スタッフの皆さんには、好きなように仕事をしてもらいたいが、チェックもしなければならない。
そんな葛藤を抱えている店長に対して、会社がどう向き合うかはとても重要です。
どうしたら、各店長がスタッフ達の本気を出しつつ、ミスや不正も防いでくれるのか?
残念ながら私の経験上、こんな指導をする会社が多いです。
・ミスや不正が無く、かつ目標数値は必達
・ミスや不正、目標未達など許されない
・店舗で発生したミスや不正は店長の責任
・発生した場合、店長の管理体制に問題がある
ここで、「それの何がおかしいのか?」
「当たり前じゃないか」という声があるかもしれません。
もし会社に「店長達には、管理者としての緊張感を与えたい」という主旨があるのであれば、問題ないかもしれません。
しかし、これらの会社のスタンスには問題が含まれています。
それは、
会社として、店長からスタッフへの模範的な指導方法を明確にしていないまま、その方法を確立すること自体を、各店長達に求めている図式になってしまっている
ということ。
スタッフ達のヤル気を下げる事無く、気持ちよく仕事をしてもらいつつも、ミスや不正がないかをチェックするにはどうしたらいいのか?
ハッキリ言って、この課題を解決することはとても難しい事です。
数字を上げるという行為と、ミスや不正をチェックするという行為は人の感情的に相反する行為だからです。
さて、その難しい課題がクリアできない店長に、上記のように会社がつついていて、うまく店長達が解を導き出すことができるのでしょうか。
当の店長達はどんな状況下なのか? まとめますと
・課題の解決方法を探り、生み出すことができず、日々頭を抱えている
・その間にも、時間は無情にも過ぎていく
更に会社からは
「なぜ君の店舗ではミスや不正が起きる?」
「ちゃんとチェックしてるのか?」
「会社に与えた損害をどうする気だ?」
「それより数字はどうした、調子が悪いぞ」
「このままで、本当に目標をクリアできるのか?」
「これからどうやって挽回していくんだ?」
このような状況下で、こう判断してしまう店長もいらっしゃるのではないでしょうか?
・ミスや不正のチェックをしなければならないが、下手するとスタッフさん達のヤル気にブレーキをかけてしまう
・でもどうしたらいいかわからない
・いや、みんなを信じよう
・これまでミスや不正などなかったんだから
・きっと大丈夫だろう
人を管理する立場で仕事をしている人ほど、この心境が危険だということはよくわかっていただけるのではないでしょうか?
よって私のお勧めは、この難しい課題についての解を会社で持っておくこと なのです。
その理由は困っている店長達の為・・・でもありますが、大きなメリットは以下です。
・会社が解を持っていると、仕組みが作れる
・その仕組みが確立していると、どんな人であっても、会社が求めた指導方法を守ってもらい、おかしな脱線が無くなる
・脱線が無くなると、足場ができる。それは更に大きな結果を出そうと高みに登れる土台となる
困難な課題は会社が解を持っていて、それを元に仕組みをつくっていく。
仕組みが自走し始めたら、メンテナンスをしつつ更なる上ランクの仕組みをつくれるようになる。
会社経営者がすべきことはこのサイクルなのです。
御社はいかがでしょうか?
仕組みは順調にできあがって、積み上がっていってますか?
もしくは「なぜ優秀な店長ほど、とんでもないミスをやらかしてしまうのか?」
そんな事が繰り返されていませんか?
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