コンサルティング料金は費用か投資か?
7月の蒸し暑い日中に、東京都内のビルの合間を抜けて目的の会社にたどり着きました。今日は個別出張セミナーの日です。公開セミナーではなく個別でお願いしたいという、ある製造業の社長から依頼を受けてのことです。
その会社に着いたときは汗びっしょりで、上着とネクタイがこれほど邪魔だと感じたことはありません。受付で用件を伝え、まだ誰もいないセミナー会場に案内されたときは、エアコンが利いていて一息ついたのでした。
個別出張セミナーと言っても、内容は公開セミナーと同じです。多少は当該会社に合わせて話をしますが、大きく変えることはありません。
セミナーの最後にはアンケートにご協力いただきます。セミナーの品質向上に役立てたいためです。
そのアンケートにはこんな設問があります。
「コンサルティングに対して気になる点はありますか」
「あればどのような点ですか」
「ある」とお答えになる方と「ない」とお答えになる方は半々です。
「ある」方は、その「効果」が気になるようです。コンサルティングを受けて、どれだけ売上・利益が伸びるのかということです。
「ない」方は、コンサルタントをうまく使っている方のようです。使い慣れていると言ってもいいでしょう。
この会社の社長は「ある」でした。そして気になる点は「費用」でした。このアンケートを見たときに、猛烈に違和感を覚えました。それと同時に、この会社にコンサルティングしてもムダだろうなとも思いました。なぜならば、コンサルティングの料金は「投資」であるべきだからです。
費用はコストですので削減しなければなりません。当然です。利益を生み出すためにはコスト管理が重要です。特に固定費や外注費などは、いの一番に削減の対象になります。
コンサルティング料金が外注費だとすれば、削減の対象になります。削減の文字がチラつけばチマチマします。ケチりだします。
コンサルタントも人の子ですので、そのような方に全力でコンサルティングしません。もちろん一生懸命にご指導しますが、どことなく冷めた感じになります。
当社の場合、コンサルティング料金を値切られることはありませんし、仮にそうなれば、コンサルティング自体をお断りします。コンサルティング料金は、それなりの理由があっての金額だからです。
さて、それではコンサルティング料金が費用でなければ、一体何でしょう? 答えは「投資」です(会計的に言えば、投資をすると何年かにわたって減価償却費という「費用」が発生しますが、ここでは会計の話をしているわけではありませんので、費用と投資を分けて考えます)。
投資であれば回収を考えます。投資した金額の何倍にもなって返ってくることを考えます。要するに、売り上げを上げるための次の一手のために使うものです。だから会社が成長するのです。
費用と投資。言葉の違い、考え方の違いだけと思ってはいけません。人は基本的に、考えていることが行動に表れます。考えていないことは行動に移しません。
したがって、費用と考えてチマチマすれば考え方が内向きになり、行動も内向きになって売り上げが上がらなくなります。逆に、投資と考えて何倍にもして回収しようと考えれば、行動も外へ外へと向いて売り上げも上がっていくでしょう。
コストダウンは大切なことですが、コストダウンで売り上げが上がるわけではありません。新規顧客が開拓できるわけでもありません。さらに、コストダウンは気持ちが委縮します。
もちろん「売上=利益=キャッシュ(儲かる)」という論法にはなりません。しかし、全ての利益の源泉は売上です。したがって、売り上げを上げることが第一の目的になります。その意味では、会社の成長は売り上げにかかっていると言ってもいいでしょう。
コンサルティングに投資をして、その金額の何倍にもして資金を回収する。この考え方こそ重要です。
経営者には、人の寿命と同じで「経営者寿命」があります。経営者として正しい判断・決断ができる期間のことを言います。
一般的には、お金で時間は買えません。しかし、時間を買う方法が一つだけあります。経営者寿命を延ばす方法です。
それはノウハウに投資することです。ノウハウに投資すれば、安価に、しかも確実に良い結果を手に入れることができます。
ところが費用と考えた場合は、チマチマしてケチって、結局良い結果を手に入れることはできません。
会社を成長させるためには投資が必要です。機械や設備には投資する経営者の方は多いでしょうが、ノウハウに投資することを考えてください。決して費用と考えてはいけません。なぜならコンサルティングがうまく行かず、お金の無駄遣いになってしまうからです。
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