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事業継続力の向上で信頼と競争力を強化する

SPECIAL

トラスタライズ=信頼を対価に変えるコンサルタント

トラスタライズ総研株式会社

代表取締役 

企業の「信頼を対価に変える」専門コンサルタント。独自の「トラスタライズ手法」を用いて、見えない信用や信頼を、目に見えるカタチに変え、対価へと変えることで多くの経営者から注目を集めている。企業経営において社会・顧客双方の価値の創出が求められる時代にあって、「信頼」を切り口に、顧客企業が売上・利益を向上させられる手法の研究・提言を行っている。


有事の際の事業継続力は経営における重要な検討事項のひとつですが、リスク低減のみならず、信頼構築・対価向上の観点でも有効な武器になりえます。

「この会社、担当者の対応や価格の安さは魅力だけど、何かあった時の対応が不安だから、発注はちょっとやめておこうか・・・」

製品やサービスの提供を受ける会社を選ぶ際、自社内でこんな会話をされたことがある方は少なくないのではないでしょうか。取引相手を選ぶ際、製品・サービスの質の高さや価格、納期など、考慮すべき点は数多くありますが、相手の会社が安定供給してくれるか、事業継続力に懸念はないかという点も、長期取引の場合は重要なポイントになりえます。

今回はこのような「事業継続力」と信頼の関係について取り上げたいと思います。


■「事業継続力」の重要性の高まり

昨今、新型コロナウイルスによるパンデミック、自然災害、サイバー攻撃、サプライチェーンの混乱など、さまざまな要因で企業の安定性が揺らぐ場面が増えています。以前よりも「取引が継続できなくなるリスク」が高まっているといえ、企業がリスクへの対応力をどれだけ備えているかという点が、取引先や顧客にとってより重要になってきています。

こうした不安定な状況の中で、リスクの発生自体を抑制したり、顕在化したリスクの影響を最小限に抑えられたりする企業は、より高い信頼性を備えているとみなされます。多くの企業にとっての事業環境が不確実になるほど、この観点での信頼の価値が相対的に高まるのです。

過去のコラムでも述べている通り、「信頼」は、その企業が顧客や取引先に対し、「価値を想定していた通りに提供できる」と思ってもらうことで、買い手が抱く「価値の期待値」を高める効果を持ちます。この期待値が高いほど、取引先が払ってもよいと思える対価は高くなりますし、長期的な関係も築きやすくなります。

特に、安定供給が重視される業界では、リスク対応力の高さが信頼構築において決定的な役割を果たします。例えば、品質がほぼ同等で、価格に若干の差がある2社のどちらかと長期の取引を検討するケースを考えてみましょう。一方の企業はリスク対応力が不明で、もう一方の企業はリスク分析と対応策がしっかりと策定されており、その内容を取引先にも共有しているとします。この場合、多少価格が高くとも、後者の企業が選ばれることは十分にあり得ます。

つまり、リスクに対する準備や対応力の高さは、顧客や取引先に対する「安心感」を高めることに寄与できれば、買い手が抱く価値提供の期待値を高め、より多くの対価を引き出すことにつながる可能性があるのです。


■事業継続力の強化・訴求は差別化ポイントになりうる

事業継続力の向上・訴求のためにはさまざまな施策が考えられますが、その代表的なものがBCP(事業継続計画)です。BCPは、予期せぬリスクが発生した際に、企業が迅速に業務を復旧し、顧客への影響を最小限に抑えるための計画です。リスクの洗い出しや評価・優先順位付けを行い、各リスクの対応策や回避策を、重要度の高いものから順に策定するのが基本的な考え方です。

実際に有事が発生した際に拠り所になるのはもちろんのこと、そのような計画をきちんと策定したり、それに基づき訓練をしているといった事実自体も、うまく伝達することで取引相手に自社の信頼性を伝えることにつながります。商材にもよりますが、安定的に製品・サービスが供給されることが大切なビジネスは決して少なくありません。

にもかかわらず、帝国データバンクが2024年5月に行った調査によると、中小企業でBCPを策定しているのはわずか16.5%に過ぎません。つまり、日本においてBCPを策定している中小企業はまだまだ少数派ということです。

だとすれば、他社に先んじてBCPを策定し、その内容を取引先に説明することで、「この会社は信頼できる」と思ってもらえる可能性は少なくありません。特に、この先も何が起こるかわからない不安定な時代においては、こうした事前の準備と共有化が企業の信頼性を大きく高めるのです。


事業環境が不安定化する中、事業継続力を高めることは、信頼構築の新しい形として重要になってきています。リスクへの対応力を持つ企業は、取引先や顧客から高く評価され、長期的な取引を獲得しやすくなります。BCPの策定やリスク管理の強化は、単なるコストではなく、未来への投資として捉えるべき、ともいえるでしょう。

経営者としては、自社のリスク対応力を再点検の上、事前回避も含めた対応策を検討しておき、さらに外部と共有することが求められます。信頼は価値提供の確実性を支えるポイントですが、この事業継続力のように、一見顧客にとって直接の価値とみなされにくい領域からも蓄積・強化していくことが可能です。事業継続力を強化することで、より強固な信頼を築き、企業の成長を支える基盤を作り上げていきましょう。

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