価値は情報が生み出す
JCPOコラム
価値は情報が生み出す
今日は少し時間軸の長い話をします。特に製造業の分野では、日々の仕事を通じて儲けを積み重ねている経営者にとって、価値を生み出してくれるのは品質であり、安定供給の実現であり、一定規模以上の生産量なのだろうと思います。製造業以外でも、現場や工場の稼働が即儲けにつながる経営者であれば、おおよそ似たような感覚をお持ちではないかと思います。
今はそれでよいとしても、10年後、30年後を考えたとき、大方の事例ではほぼ確実に生産高や取扱高が減ってゆくことについて、果たしてどれだけの経営者が対策を講じているのでしょうか。
市場の縮小は、早いところではもう10年くらい前から発生しています。国レベルの基幹産業に近い分野ではさほど目立っていませんし、短期的な需給の変化でむしろ需要が伸びたところもあるので、マクロ的に目立つ変化ではないかもしれませんが、直接的には日本の人口減少がもたらす市場縮小は、構造的に言って不可逆的なものだと考えるべき性質のものです。ここしばらく日本の人口は減り続けますので、それに合わせて市場も縮小するということです。
そんな中で、儲けはどのようにして確保されうるのか。一つ言えることは事業そのものが縮小する中にあって、コストそのものは変動費の世界で確実に減るだろうということが言えますね(相対的に固定費率は上昇するかもです)。問題は売上です。量で稼げないなら、情報で稼ぐという手立ては考えられないでしょうか。
短期的に言えば、CO2の排出量に関する正確でタイムリーな情報を提供するとか、生物多様性など自然保護に関する貢献度を可視化して提供するなど、単なる社会貢献ではなく、それが非財務情報として投資家に訴求性を持つことになる情報、つまり価値に直結する情報が強く求められています。取引先から言われてから始めるよりも、一歩先んじて情報への目配りをされてください。
長期的に言えば、物的な需給はどんどんコト化してゆきます。すでに手続きに関わる紙の部分は多くが電子化されましたが、これに加えてAIによる需給予測に基づいた在庫管理や、共同配送などによるロジスティックス面の合理化、納品の小口化や決済情報の電子化と言った変化がどんどん進んできています。最終的にはモノそのものも、売られることなく「リース化」してゆく時代が来るのではないかと見ています。
すでに飛行機のエンジンなどは、飛んでいる間もエンジンメーカーがオーナーで、飛行機メーカーや航空会社はユーザーに過ぎず、オーナーがすべての情報を握り、それを価値化してユーザーに提供しています。やがては車のタイヤも同じようになるのではないかと見ています。
サプライヤーが情報で生きる時代に、私たちはすでにちょっとだけ足を踏み入れていると言えるかもしれませんね。
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