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IKEAから学ぶ社員と顧客の巻き込み力

SPECIAL

ヘルスケアビジネス参入コンサルタント

株式会社ヘルスケアビジネス総合研究所

代表取締役 

ヘルスケアビジネス専門のドクター資格を持つ異色のコンサルタント。東北大学医学部医学科を卒業後、医療技術・ソリューションの発展に尽力することを決意。ジャパンバイオデザイン・フェローシッププログラム(スタンフォード大学発のシリコンバレー流医療機器イノベーションプログラム)参加などを経て、主にヘルスケア市場参入の支援機関、株式会社ヘルスケアビジネス総合研究所を創設。
これまで東証プライム上場企業を含む40社以上に対して新規事業・開発の指導および支援経験を持ち、ヘルスケア事業部の立ち上げも支援。2016年から2023年までのバイオデザインプログラム(年に1チーム最大4名)で関わった起業案件は5社、知財出願は4件、助成金獲得6件に達し、0→1の指導における高い再現性に定評がある。

こんにちは。ヘルスケアビジネス総合研究所の原です。

皆さんは、普段家具の組立を自分でされているでしょうか?自分で組立をする家具と言えば、IKEAが有名ですよね。私も先日、仙台にあるIKEAを回ってみたのですが、素敵なデザインの家具がリーズナブルな価格で販売されていて、棚や子供用のグッズを買ってきました。

今回は、そのIKEAにちなんで名付けられた「IKEA効果」について考察してみたいと思います。

自分で組み立てた商品に愛着が生まれる心理効果

IKEA効果とは、消費者が製品の製作や組み立てに関与することで、その製品により大きな価値を見出すという心理効果です。この名称は、家具量販店IKEAの商品の多くが、消費者自身による組み立てを前提としていることに由来しています。

このIKEA効果は、実はビジネスの様々な場面で活用できる重要な概念です。

例えば、顧客との関係構築において商品やサービスの開発プロセスに顧客の意見を取り入れ、より強い結びつきを作ることができます。製品販売初期から良いお客様の声を得ることにも繋がります。

この効果は、製品やサービスの価格設定にも影響を与えます。自己関与度の高い商品に対しては、消費者がより高い価格を支払う意思を示す傾向があることが研究により明らかになっています。

新規事業を成功に導くIKEA効果の使い方

ですが、これは新規事業の立ち上げにおいても活躍するのです。

というのも、新事業の立ち上げに社員が企画段階から関わることで、その事業への愛着や責任感が強まります。これがさまざまな困難を乗り越えて事業化までやり遂げるための、原動力になるのです。

新規事業はトップダウン+ボトムアップの両方が重要とよく言われます。社長が音頭を取って目標をしっかりと掲げることが重要ですが、その一方で担当者が自分が主体となって情報を収集し、人と会って、より良いアイディアを作ることも重要です。

そう言ったときによく聞く問題点は、社長が高いモチベーションでプロジェクトを指揮するが、現場の担当者がなかなか付いて来ないというものです。

確かに担当者のやる気の問題と言ってしまえばそうかもしれませんが、実はそのプロジェクトに対しての思い入れや愛着、「これは私の案件だ」という心構え(当事者意識)がどの程度育っているでしょうか?

もし、これらの点が不十分なままプロジェクトを任せているようでしたら、ぜひIKEA効果を念頭に、企画や方針決定の場に担当者や若手も参加させ、意見を出してもらうのはどうでしょうか。

実際に活用する場合の注意点とは

ただし、IKEA効果を活用する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。

まず、関与する作業の難易度を適切に設定することです。あまりに複雑すぎると挫折感を生み、逆効果となる可能性があります。また、作業の結果が目に見える形で実感できることも重要です。さらに、その過程で適切なサポートを提供することで、成功体験を確実なものとすることができます。

特に重要なのは、参加者に適度な自由度を与えることです。過度な制約は創造性を阻害し、関与意欲を低下させる可能性があります。一方で、明確なガイドラインがないと、方向性を見失う恐れもあります。このバランスを適切に保つことが、IKEA効果を最大限に引き出すポイントとなります。

昨今のデジタル化の流れの中で、このIKEA効果の重要性は更に高まっています。

オンラインサービスにおいても、ユーザーが自身でカスタマイズできる要素を組み込むことで、サービスへの愛着を高めることができます。また、社内のデジタルトランスフォーメーションにおいても、従業員が主体的に関われる環境を整備することで、より円滑な変革を実現できる可能性があります。

このように、IKEA効果は単なる心理効果ではなく、ビジネスの様々な場面で活用できる重要な概念です。今後のビジネス展開において、この効果を意識的に活用すると、今までよりもっと強固な顧客関係の構築や、活力ある組織づくりが可能となるでしょう。

私たちビジネスパーソンは、この効果を理解し、適切に活用していくことが求められています。

このコラムでは医療・ヘルスケアビジネスに関係する情報やノウハウをお送りしています。

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