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社運を賭けた事業の成功確度は、社長の本気度で全てが決まる。

SPECIAL

波及営業コンサルタント

有限会社 日本アイ・オー・シー

代表取締役 

取引先のネームバリューで次々に新規開拓を実現する「波及営業戦略」を体系化した辣腕コンサルタント。特に技術系のメーカー企業や、特殊な加工、取り扱い品、異色サービスなどを手掛けている企業の販売戦略の再設計、大きく売れるようにする仕組みづくりに定評。

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「自社商品のサドルカバーにすべて選択と集中をさせようと思っていますが…どう思います?」

先日、知人の紹介でお話しした自転車のサドルカバーの製造販売を行っている社長さんからの雑談ベースで受けた相談ごと。

この社長さん、サドルが破れた自転車にスーパーの買物袋をかぶせて乗っている人をみて、もっとデザイン性のよいものがあれば…とゼロから市場を創り上げた方です。

雨上がりの後などは、撥水加工したサドルカバーであれば、ハンカチなどでサッと拭けば一瞬で水が弾けます。

さらに、目立つデザインなので、自転車置き場でスグに自分の自転車も見つかる。

今までありそうでなかった商品。

こういう商品は、根強い販売力を持っているので、事業を選択と集中しても良いのでは…と思ったものの、やはりリスク伴うもの。

しかも、自社ブランドの売上は、6割。

卸売業は4割という売上構成ですから、1本に絞るのは、ちょっと心もとないものがあります。

10年前に起業した際は、文具や雑貨を扱う卸売業からスタートしたそうです。

ところが経営者独特の感が働き、このままでは会社が発展しないのでは…と思い立ち、4年前に自社商品のサドルカバーを企画し、販売を開始したそうです。

当初は苦戦していたものの、社長の胆力勝負で、今では50万枚を突破するヒット商品にまで成長。

その間、「売れる!」と分かった競合他社が市場に参加しはじめ、一番多いときで10社ほどの競合がひしめいていたそうです。

しかし、先駆者の意地があります。

有名キャラクターとタイアップし、キャラクター商品を新発売するなど、本気度を市場に知らしめると、単なる金儲け主義の競合は相次ぎ撤退。

今では、2社しか残らない独壇場を築き上げたのです。

ここまでくるには、血のにじむような努力があったことは容易に想像ができます。

そんな精魂を混めた自社ブランド商品であるサドルカバーの良さをもっと市場に伝えていきたい…。

この自社商品を使って、自社を次なる成長ステージに押し上げたい…。

その思いが「サドルカバー事業を選択と集中すべきでは?」という課題をつくりあげていました。

卸売業の売上を捨てて、サドルカバー事業に集中させるのは、高いリスクが伴います。

私も話を伺っている冒頭では「4割の事業を捨てるのは危険では?」と感じていました。

しかし、社長がこれまで努力してきた事や、なぜそう思い立ったのか?を伺うと、今度は「100%成功するのでは?」という思いに変化していったのです。

事業の成否は、つまるところ「社長の本気度」です。

社長の本気度という「土台」がしっかりていない事業は、杭がしっかりと打ち込まれていないどこかのマンションのようなものです。

ちょっとした逆境でスグに傾いてしまいます。

でも、そんな心配は全くご無用の様子。

粗利計算まではお伝えできませんが、一般論で言っても卸売業の粗利益率より自社ブランドの利益率の方が、倍以上は稼げます。

仮に2倍だったとします。

売上高が12億で、粗利が6億…粗利率50%の自社ブランド。

売上高が8億で、粗利が2億…粗利率25%の卸売事業。

合計20億の企業というケースの場合。

売上は40%減でも、粗利では25%減というカタチになります。

 

つまり、売上は40%減でも、実質は25%減と同じこと。

リスク想定も粗利から考えると半減しています。

 

さらに事業の成長性や将来性まで、話は発展すると、成功への確信度はさらに強まりました。

同社の営業マン達は、営業先で「卸売業」と「自社ブランド商品」の2種類の商品をもって営業活動をしているそうです。

ところが、1回の商談で、2つの商品を売り込むのは、想像以上に難しいもの。

藤冨も営業経験が長いので、想定ができましたが、これはチャンスロスをしている可能性が大です。

と言うのも、人間はやすきに流され易い…という性質を持っています。

2つの商材があり、どちらかが営業しやすかったり、売れなくても自分の能力が毀損しなければ、そちらに流れてしまいがちです。

本当は売れる商品なのに、自分自身の能力のせいにならないがために「売れない」…というチャンスロスがあるというわけです。

 

具体的にイメージしてみましょう。

卸売業の商品は、どこにでもあるメーカー品のため、「価格」や「納期」など、受注ポイントになります。

言えば、商談がとてもシンプルなわけです。

シンプルが故に、商談が失敗しても、価格や納期のせいで負けた…とメーカーのせいに出来ます。

つまり自分の能力ではないと言い訳ができます。

 

しかし、自社商品の場合はどうでしょう?

世の中にない商品を提案するのですから「このサドルカバーはちゃんと売れるのか?」を小売業の方に納得してもらう必要があります。

そのための工夫できる余地は、軽く考えるだけでも沢山あります。 

  •  どのような地域で売れるのか?
  •  最適な販売経路はどこか?
  •  店頭ディスプレイはどのようにすれば一番売れるのか?
  •  POPや陳列方法で販売状況が変わるのか?
  •  新規開拓に必要な「売れていている感」を演出するツールは入手できるか?

 

などなど、たくさんの売上増大策にチャレンジする余地があります。

そして努力すればするほど、売上が伸びる事業であることも手に取るようにわかります。

普通の営業マンなら、どちらの事業に商談の比重が傾くでしょうか? 

  • 売れない理由を「他人」のせいに出来る事業。
  • 売れない理由が「自分」の能力しだい…と評価される事業。

 

答えは明らかなはずです。

そして、事業も社員も成長するのは、どちらの事業でしょうか?

これも答えは明らかなはずです。

私もサラリーマン時代に、既存事業を捨て去り、新規事業一本に集中させられた時期がありましたが、他人のせいにできる仕事がなくなったら、社員は奮起せざるを得ません。

それを思い出したら、4割を占める既存事業を捨てても、この社長なら成功できる! そう確信するに至りました。

社運をかけた事業の成功度は、商品力や市場性、時代性など様々な要素によって影響されますが…

絶対に不可欠な要素は、「本気度」です。

御社では、「本気度」にフォカースして、事業の意思決定を行っていますか?

 

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