欲しいリーダーは「業績は上げたが、仲間は増やせなかった人」ですか?
ある企業では、業績は伸ばせているものの、いくつかの店舗は人手不足。
社長としては大胆な攻めに転じたいものの「人がいないから、まわすのが精いっぱいなんです」という声もあって進まない状態。
「どうしたら現状を打開できるのか?」
社長と私とのやりとりの途中、
「なぜ今まで人手不足を解決できなかった店長を評価してしまっていたのか・・・」
社長は自ら気が付かれたのでした。
店舗という形をとってビジネスをされている多くの企業には、おかしな評価制度が存在しています。
それは
「数値目標を達成できていたリーダーを評価し、昇進させている」
一見「それの何が問題なのか?」と疑問に思われることでしょう。
ところが、社長の本音をお聞きしますとこうなることが多いのです。
「私は数値はもちろん、働きたいという仲間達も増やせていけるリーダーが欲しい」
つまり会社は、社長が欲する
「数値も仲間も、どちらも増やしていける人」
ではなく
「数値だけ上げられた人」
を評価していたということです。
このズレは、放っておいても何とかなるほど些細な事ではありません。
ズレを放置すると、どうなっていってしまうのか?
一例を挙げますと、
社長がいくら斬新な、効果が期待できる政策を掲げても
「人がいなくて、できませんでした」
そんな報告ばかり。
有効な一手を何度打ち出しても、実らせていく事ができません。
人手不足対策に時間とコストがどんどん失われていってしまいます。
更に困ったことに、現場ではこんな考えも定着していきます。
「今さえ結果を出せたらそれで良い」
「私が昇進した後のことなど知らん」
私は、店舗という形をとってビジネスをされている企業で働く方から、よくこんな嘆きを耳にすることがあります。
「前のリーダーの後を引き継いだら、何の策も無く、その場しのぎばかりで回していた状態だった」
「リーダーは残業するのが当たり前で、すでに残業しなければ回らない状態にまで陥っていた」
私はもはや驚くことはありませんが、なかにはこう言った声も。
「前任者は倒れるほどのサービス残業を繰り返し、何とか回していた」
店舗ビジネスにおいて、業績も、人も増やせて行ける強い社員、スタッフが生まれていく企業はどうしているのか?
それはシンプルです。
彼らは部署長や店長が
・決して大きいとは言えない組織を任せても
・誰にも注目されない地味な組織であっても
・ほとんどコストがかけられない状態であっても
「私も、僕もここで働きたい」と願う人を増やせていけるか?
を評価に盛り込んでいます。
よって、
「君は数値は上げられたけど、人は増やせていけなかったよね」
「でも昇進。おめでとう」
とはしていません。
これが社内に根付いていますと、
・今までの人生において、リーダーという立場を一切経験してこなかった人であっても
・コミュニケーションが苦手で、距離を置かれやすい人であっても、
「なんかここは居心地が良いよね」
「気持ちよく仕事ができるよね」
そんな反応が得られるようになっていきます。
一方リーダーはといいますと、世の中のどこも人手不足という時代背景もあり、
「なんか、自分だけがうまく組織をまとめられているような・・・?」
「私ってけっこう人をまとめる能力があるんじゃないか?」
自信が身についていきます。
そして会社に増えていく人材は
・発足したての、小さな組織を任されたとしても
・誰からも注目されない組織を任されても
・コストも時間もかけられない厳しいタイミングにおいても
「僕も、私もここで働きたい」と言われる組織に大きくしていける、強い人達が活躍していくようになります。
ことは単純です。
「小さな組織において、限られた予算内でも、業績も人もダブルで増やせていけるのか?」
社長が「そんな社員が欲しい」と想ってらっしゃるのであれば、それを正しく社内の評価に盛り込むだけなのです。
「伊東さん、そんな当たり前の事ではないですか?」
そう突っ込まれるほど基本中の基本ですが、なぜかこれができている企業は少ないのです。
最後に御社にお尋ねします。
御社では
社長は「数値も人も増やしていける社員が欲しい」とおっしゃっているのに、
なぜか実際の評価は数値結果のみ・・・
そうなっていませんか?
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