経営計画が会社の未来に与える影響
経営計画に関しては、会社によって様々な状況があります。熱心に計画を立てて実行する会社もあれば、計画自体がない会社もあります。
当社ではこれまで、多くの同族会社の社長さんをサポートしてきました。その中で、数字を基に考える財務的な思考を磨き、財務を中心に据えた会社づくりに成功していく姿を何度も見てきました。
しかし残念ながら、「周りがやっているから」「なんとなく安心だから」「融資や補助金の申請に必要だから」といった理由で、形だけの経営計画を作っている会社も少なくありません。
ただ計画を立てて、なんとなく実践するだけでは成功は望めません。特に同族企業の場合、社長自身が財務の考え方を身につけた上で経営計画を作らなければ、成功は難しいのです。
例えば、外部の人間が融資や補助金獲得を目的に作った経営計画では、数字の前提が「結果ありき」になってしまいます。審査する側の好む表現や数字作りに終始し、社長の本来の考えとはかけ離れたものになりがちです。
このような外部主導の計画は、実際の経営の現場では役に立ちにくいものです。なぜなら、日々の経営判断に迫られる場面で、その計画を参照しても、本当に会社のためになる選択ができないからです。
一方、強く長く続く会社の社長は、自ら経営計画を毎年作成します。経営理念や行動指針から、具体的な行動計画や数値目標まで、自分の手で作り上げていきます。この過程で、社長は自社の強みや弱み、市場環境、競合状況などを深く分析し、理解することになります。
社長自身が頭を使い、悩みながら作った計画だからこそ、力強いものになります。そして、この計画こそが、日々の経営判断の基準となるのです。
例えば、新規事業への参入を検討する際、その判断が経営計画に沿ったものかどうかを確認することで、より適切な意思決定ができます。
また、この社長自らが作り上げた経営計画は、社員との想いや経営方針の共有にも役立ちます。社長の考えが詰まった計画を共有することで、社員全員が同じ方向を向いて、計画達成のために努力することができるのです。
これにより、会社全体の一体感が生まれ、目標達成への道筋がより明確になるのです。
社長にとって、経営者として難しい決断や、苦しい判断を迫られる場面は多々あるものです。そんな時こそ、自らの手で作り上げた経営計画が道しるべとなってきます。
目指すべきゴールが明確なため、本質的な部分での判断にブレが生じにくくなります。結果として、思い描いた理想の未来に近づくためのスピードも速くなっていきます。
人は目標が明確になれば明確になるほど、それに向かって前進しようとします。社長だけでなく、社員全員が一丸となって、目標に向かって進んでいくのです。
言うまでもなく、財務は、日々の経営判断の積み重ねです。財務の視点から正しい経営判断を積み重ねることで、自ずと財務体質も日々、強化されていきます。
経営計画は、経営判断に迷った時の道しるべとなり、会社の進むべき方向性を照らす、灯台のようなかけがえのないものなのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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