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規律のない組織は烏合の衆と化す。成果のでる組織には規律がある

SPECIAL

組織の成長加速コンサルタント

株式会社グロースサポート

代表取締役 

組織の成長加速を促し、業績躍進を実現させる辣腕コンサルタント。これまで130社以上の企業において、経営者のコンサルティング、経営幹部、経営リーダーの育成に携わる。組織とリーダーの成長段階を知り尽くし、経営者と同じ目線で語ることのできる希有なコンサルタントとして活躍中。

 

売上が60億円を超えるとある企業の営業本部長兼取締役から、深刻な相談を受けました。
長期にわたり低迷している関西事業部の業績。
この事業部は、マーケットの規模から見て、売上が現在の2.5倍でも適正とされるにもかかわらず、シェアを減らし続けているというのです。10年近く部長を務めた人物が2年前に定年退職し、新たな事業部長が就任。全役員が「変革」を期待していましたが、その兆しは一向に現れていませんでした。

 


 

そうして始まったのが、関西事業部のM部長とのコンサルティング。M部長は転職して5年目、うち3年間は副部長として前任者を支えてきました。初対面の際、M部長は静かに、しかし重みのある言葉でこう告白されました。

「お恥ずかしい話ですが、副部長時代の方が良かった。」と。前任の部長は勤続30年の大ベテラン。現在も残る2名の課長は、彼の「直弟子」と呼べるほど親しい存在でした。

M部長の表現を借りるなら、前任の部長と課長2名は、まさに「鉄の三角形」。その絆の強さは、業務にも如実に表れていました。

当時、副部長だったM部長は数値管理を中心に本社との連絡を担っていましたが、現場の細かい指示はすべて前任部長から直接課長たちに伝えられ、彼はしばしば事後に知ることが多かったそうです。それでも前任者はM部長にも配慮し、課長たちも彼の依頼に迅速かつ的確に対応していました。

 


 

しかし、M部長が部長に昇進した途端、徐々に状況は変わり始めます。
課長たちは次第に彼の指示に従わなくなり、彼が新たな施策を提案しても「工数がかかりすぎる」「人が足りない」「費用対効果が悪い」といった理由で、常に反対の姿勢を取るのです。
「売上げは維持できているんだから、今まで通りで何が悪い?」とでも言わんばかり。そんな態度に、M部長は有効な対策を打てずに、悩んでいました。

さらに追い打ちをかけるように、2人の課長同士も対立するようになりました。わずか15名の小規模な組織が分裂状態に陥っていました。ギスギスした空気が漂う中、M部長はこうも語ってくれました。「私は関西での成功を夢見て、この転職を決めました」と。

私は、まずM部長に3カ年計画を作成してもらい、その計画を課長たちにも説明して頂くところから始めました。目指すべき未来を、彼ら全員に明確に描いてもらうためです。

そして、次に重視したのは「行動指針」の徹底。これは前任部長も大切にしていたもので、完全な徹底には至らなかったものの、課員の指導の根拠として何度も活用されていたものです。

 


 

私は常々、組織を変えるためには「行動指針」が最も効果的だと考えています。組織全体でこれを共有し、実践すれば、驚くほど早く組織の風土が変わります。

ところが、M部長はこの方法に対して消極的でした。2人の課長は彼よりも社歴が長く、「自分たちの方が会社のことを知っている」といった態度を取るため、さらに反発を招くことを恐れたのです。

規律を回復させれば組織は改善すると同意しつつも、彼は前任部長のような強引なやり方しか思い浮かばなかったのでした。前任部長はエネルギッシュで声も大きく、強い口調で指示を出す姿に、誰も逆らえなかったそうです。

しかし、M部長はまったく正反対のタイプ。温厚でコツコツと成果を積み上げていくスタイルで、威圧するような指導は性に合いません。さらに、関東出身で、関西の文化に馴染むのも容易ではありませんでした。

「私にできるでしょうか?」と不安げに私に問いかけるM部長。

勢いのある相手に同じ勢いで応じるのは、確かにひとつの方法です。しかし、それは気合と根性の勝負になりがちで、誰にでもできることではありません。

そこで私は、気合いに頼るやり方と、マネジメント技術によるやり方、どちらを選ぶかM部長に委ねました。彼が選んだのは、後者の「マネジメント技術」。気合や根性は必要ありませんが、組織の規律を回復させることができるのです。声を荒げる必要もなく、威圧する必要もありません。

 


 

規律があるとは「決めたことを確実に実行する」こと。マネジメント技術は、その仕組みを確立し、誰でも実行できるようにするものです。

たとえ社歴が短く、年齢も若いM部長であっても、この技術を使えば、年上のベテランにも効果を発揮します。

今回の実践内容は、売上拡大だけでなく、行動指針の再徹底と組織の最適化。
不安に揺れるM部長を励まし、マネジメント技術を実行に移してもらいました。

実践から1ヶ月後、M部長は目を輝かせながらこう報告してくれました。
「木村先生、2人ともやってくれています!」と。

 


 

その後、M部長は3カ年計画に沿って着実に取り組み続け、初年度は前年比105%の目標に対し、106%を達成。2年目は110%を目指した結果、113%という素晴らしい成果をあげました。

特別なことをしたわけではありません。成果が出る組織は、決定したことが確実に実行される風土を持っているのです。この風土を意図的に作り上げることは、誰でもマネジメント技術を使えば可能なのです。

20歳の新人リーダーが、40代のベテラン社員を指導する場面でも、決められたことが確実に実行されます。もし、会社や上司が決めたことが実行されない状態が続くなら、どんなに優れた戦略や戦術があっても、それはただの絵に描いた餅に過ぎません。


マネジメント技術の導入は、どれほど荒れた組織であっても、その状態を回復し、組織を前に動かす力を持っています。

さあ、次はあなたの組織を、大きく前進させませんか?

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