節税が経営悪化につながるワケ
多くの社長は、会社の成長のために日々、試行錯誤して行動に移しています。それが、「正しい経営のやり方」であれば、会社の経営は上昇気流に乗っていくことでしょう。
一方で、経営が上手くいってない会社の場合、経営を悪化させる思考が存在しています。
具体的にお伝えすると「売上至上主義」と「節約・節税至上主義」の2つになります。特に「節約と節税にこだわりすぎる」ことで、会社の成長を妨げているケースは多々あるものです。
この2つの考え方を持つ社長に共通するのは、
「売上を増やせば、すべての経営課題が解決する…」
「投資をしたら、利益が出なくなってしまう…」
「売上が増えたら、投資をしよう…」
という考え方です。
確かに、無駄な出費を抑えることは重要です。しかし、会社を成長させるためには、ある程度の継続的な投資が欠かせません。例えば、新しい設備の導入、社員教育、新商品開発など、これらの投資なくして会社の成長は、あり得ません。
経営が順調な社長は、お金の使い方が上手です。ただ単に節約するのではなく、「どこにお金を使うべきか」を戦略的に考えています。つまり、生きたお金の使い方をしているのです。
例えば、新しい設備を導入する際は、「この投資によってどれだけ生産性が向上して、どれだけ利益増加につながるのか」ということを、財務の視点から具体的にイメージして、決断します。
広告宣伝費や新店舗の取り組みは、「この投資によってどれだけの売上が生まれ、利益増加につながるのか」ということを、財務の視点から具体的にイメージして、決断します。
つまり、あらゆる経営判断を財務の視点から行うことで、必要な投資は積極的に行い、無駄な支出は徹底的に削減する。この判断力こそ、成功する社長さんの特徴なのです。
節税に関しても同様のことが言えます。確かに、税金を支払うと手元のお金が一気に減ります。
1年間、社員と必死になって稼いできたお金が減るのは、気分の良いものではありません。
だからこそ、税金を払いたくない気持ちは理解できますが、それに囚われすぎると経営判断を誤ることにつながるのです。
「税金を払いたくない」という思いが強すぎると、節税商品に手を出して、予期せぬ損失を被ることに繋がります。
重要なのは、「会社の将来」を見据えた経営判断を、財務の視点から行うことです。単に税金を減らすことだけを考えるのではなく、最終的な手元現金が最大化される経営判断をすることが、最も重要なことなのです。
会社経営において最も大切なのは、あらゆる経営判断を、財務の視点から行うことです。節約や節税も重要ですが、それらにこだわりすぎると、本質を見失うことに繋がります。
もちろんムダな税金を払う必要はありません。正しく節税すれば、会社はもちろん、社長自身にもしっかりお金を残すことができます。
しかし、実際のところ、多くの社長が「間違った節税対策」の落とし穴に陥っています。具体的には、節税対策で手元資金を減らしてしまっているのです。
つまり、気付いたら、節税対策をすること自体が目的になってしまうのです。その結果、ドンドン資金が苦しくなっていくのです。
会社の未来を見据え、必要な投資は積極的に行う。一方で、無駄な支出は徹底的に削減する。この両者のバランスを財務の視点から考え、実践することこそ、長期的に繁栄する強い会社を築く道筋なのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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