企業アライアンスと肌感覚
日本経済において、他社との連携協力や協業に関する多様なバリエーションが目立ち始めたのはこの10年くらいのことではないかと思います。昭和の頃は、ケイレツに代表される縦割り主義や自前主義が当たり前で、社外、特に競合可能性のある他社との技術協力などは、考えることくらいはあっても、そこから先に話が進むことはあまり多くなかったのではないでしょうか。
それがこのところ、たとえばオープンイノベーションだとか、サプライチェーンの垂直統合といった、昔はなかったコンセプトを前面に立てた社外との協業が次々と成功事例を産み出しています。コンビニ業界の共同配送や、技術開発でも花王とライオンがリサイクル可能なパウチを共同開発するなど、利害が一致する組み合わせがどんどん現実化してきています。
他方で時差を感じる事例もまだまだあちこちに散見されます。たとえば旧財閥系のグループでは、同じグループの製品を使うことが暗黙の要求条件になっていたりします。三菱グループの乾杯はキリンビール、という話は象徴的なエピソードだと思います。
東京と地方のアライアンスでも、時差とはちょっと違う肌感覚の差が残っていたりします。東京の、特に大企業にとって自社の事業分野以外のビジネスは、必ず同等かそれ以上のプレーヤーがいて、それら先行他社との関係作りが重要な課題となる場合が普通なのではないかと思われます。
ところが地方では、とある企業家が金融から製造、飲食からマスコミまで手広く関与しているという例は枚挙にいとまがありません。全国ブランドのフランチャイズビジネスの隆盛がそれに拍車をかけています。
このような背景により、オープンイノベーション的な発想はどうかすると地方の企業家の方が豊かでダイナミックだったりするのですが、東京の目線ではなかなかその議論について行けないような場面にも出くわします。
相手にうまく考えを伝えるためには、相手の立場に立って考えることが何より重要だ、とはよく言われる話ですが、そうだとするならば、ことオープンイノベーションの先にあるビジネスチャンスについては地方の企業家の方が感覚が鋭いのではないかという仮説をお試しいただく価値があるように思います。逆に、地方の企業家が反応する組み合わせを見つけられれば、それをテコに東京でのアライアンスを加速させることも期待できるのです。
ぜひ東京と地方の肌合いの差をビジネスに生かして、新たなチャンスを掴んでください。オープンイノベーションにまっすぐな企業家を、当社は常に全力で支援しております。
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