資金繰りに悩む社長に共通する勘違い
多くの社長は「事業は順調なのに、お金が足りない」「月末の支払いが心配で眠れない」と悩んでいます。これは、お金の管理の本質を理解せずに、表面的な対策だけをしているからです。
今は、インターネットや本で様々な経営のコツが紹介されています。これらを正しく活用すれば、会社経営においてプラスになることもあります。
しかし、間違った活用をしてしまうと、一時的には効果があっても根本的な問題解決にはつながりません。むしろ、状況を悪化させてしまうケースも、たくさん見てきました。
どうしてなのでしょうか。
本来、会社のお金の管理、つまり財務の実務は、地味で泥臭いことの連続です。時には、厳しい経営判断を迫られることもあります。数字に基づき、正しい経営判断をするということは、本来、大変厳しく、難しいものなのです。
だからこそ、財務の実務を続ける力のある社長さんほど、素晴らしい結果を手にしているのです。
一方で、目先の対処療法的なアプローチは、派手で魅力的なものが多く、あたかも「パッとつけてさっと治る」魔法のように感じてしまいます。そのため、ついつい安易な方向に進みたくなってしまうのです。
その結果、一時的には効果があっても、何度も何度も同じ問題に悩まされたり、ひどい場合には、もっと悪い状況に陥ってしまったりするのです。
大切なことは、目先の課題解決や、対処療法的な方法に惑わされず、根本的な課題解決につながる、正しい財務の実務をコツコツ続けること。それが、長い目で見て会社を強くする近道なのです。
また、多くの社長は、経営課題を解決する優先順位を間違えています。
会社経営においては、「ヒト・モノ・カネ」の3つが常に経営課題として存在します。そして、多くの社長はこの経営課題を解決する時、「売上を増やせば全て解決する」「人を育てれば会社は潰れない」と考え、「ヒト」「モノ」の問題解決に取り組みます。
しかし、それは間違いです。
経営の課題の中で、最も優先して解決すべき問題は「カネ」の問題です。お金の問題を解決しないまま、売上を増やしたり、人材育成をしたりしても、経営は苦しくなる一方です。
なぜなら、人を雇うにしても、新しい事業を始めるにしても、設備投資をするにしても、全てにお金が必要だからです。
逆に言えば、「カネ」の問題さえ解決してしまえば、「ヒト・モノ」の課題も次々と解決できるようになります。
財務中心の会社づくりをすれば、儲かって潰れない会社に進化していくのです。
また、資金繰りの問題を抱えている社長は、「相談する相手を間違えている」ことが多いものです。
多くの社長は、会社のお金のことは税理士に聞けば大丈夫、資金繰りは、経理の人が全部わかっていると思っています。しかし、これは間違いです。
税理士は、あくまでも税金計算の専門家です。過去のお金の流れを見て会計処理や税金計算をするのが仕事です。99%の税理士は、財務に関しては専門外なのです。
オリンピックでは、さまざまな競技が開催されていますが、マラソンで金メダルを取った選手が、体操で金メダルは取れません。同じ球技であっても、一流のサッカー選手が、ゴルフで優勝はできません。
なぜなら、ルールが全く違うからです。
経営の相談も同じです。税金に関しては税理士に聞くべきですが、お金の管理については、その分野の専門家を自ら探し出すことが大切なのです。
大切なのは、社長さん自身がこの事実を知り、行動を起こすことです。お金の管理を理解し、実践することで、会社の未来は大きく変わります。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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