オンラインで優れたコンサルティングを活用する!

社内のデータを使い倒せ!BI活用のススメ

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

「鈴木先生、社内システムに入っているデータを使って、経営分析のレポートをまとめさせているのですが、担当者が大変だと言っています。いろいろと手間がかかっているらしいのですが、簡単にやる方法はないものでしょうか?せっかくデータが手元にあるのに、うまく生かすことができずもったいないと思っています。」というご相談をお客様の社長からお受けしました。実はこのような質問は社内の重要な業務がシステム化されていて、主要なデータはほぼデータベースに格納されている状態の「デジタル化がそこそこ進んでいる会社」から受けることが多いものです。

社長の頭の中にある経営分析とは、社長の言葉によれば「簡単なもの」というご説明でしたが、実際にお話を伺ってみると「顧客データとそれぞれの顧客の属性と、時系列で販売実績とその明細と、販売金額と粗利益と加工費と・・・・・を紐付けて、時系列分析のために棒グラフにして、これは円グラフで内訳がわかるようにして・・・・」といった、一言では説明できないほどの複雑なデータ加工作業が必要なものでした。それに加えて、使うデータや加工の方法も年間を通して何回か変更させているそうです。データに基づく経営を実践されている会社の場合、試行錯誤を繰り返してよりリアリティの高い経営指標を作るので、このような複雑なものになることは自然の流れです。

ところが社長にしてみれば、『手元にあるデータを使っているだけなので、表計算ソフトを使いこなせる社員にとっては「簡単」とか「単純なこと」だ』と思われていることが多いものです。一方で、まとめる立場の担当者にとっては十分に複雑な分析ですし、突然使うデータを変更されてしまうこともあるので困ったものです。しかもこれだけ複雑になると、データの操作が煩雑で誰かが手伝おうとしてもなかなか難しいですし、それが故に誰にも手伝ってもらうことができず、時間がかかってしまう…。結果的にレポートをタイムリーに社長に報告できず、社長もフラストレーションがたまる、という構図が出来てしまいます。

本来、業務のデジタル化は、データを使った経営が実現できることが一番のメリットであるにも関わらず、このようなフラストレーションがたまるというのは皮肉なものです。そんなときに、必要なデータを簡単に取り出して分析できるツールがあることはあまり知られていません。それがBI(Business Intelligence)ツールです。

「AIなら聞いたことがあるがBIって何?」という方が実は非常に多いのですが、AIとBIは完全に別物です。BIはかなり古くからあるソリューションで、マーケットには多くのソフトウェア製品が並んでいます。これを一言でいうと・・・

・手持ちのデータやデータベースがあって、そこに大量のデータが入っている時に

・そのデータを簡単な操作で様々な条件で抽出して表に出力したりレポートを作ったりする

・定例レポートは自動でも生成できる

といったソフトです。ここで「簡単な操作」とは、プログラミングの知識など不要で、画面で各種条件を設定するだけ、というレベルです。もちろんBI等使わずとも、ソフトウェアを組むことで社内のデータベースにアクセスし、必要なデータを取り出して加工することは可能です。しかし、技術者がプログラムを組まなければならないので、手間と時間とお金がかかります。場合によっては外部に開発委託しなければならず、タイムリーにもできません。BIはいちいちそんな改造をせずとも、

どのデータベースにある、どのデータを分析に使うのだ

という事前の定義さえしておけば、分析の目的に応じて使うデータを決め、抽出して分析し、だめなら試行錯誤しながらやりなおすことが簡単にできるツールなのです。

もちろん、導入するために初期投資が必要ですし、BIが参照すべきデータベースの設定や、その内部構造をBIに設定しておくという作業が必要なので、それなりの導入ハードルがありますが、価格的にもこなれているものもありますので、高望みをしなければそれほど大きなハードルにならずに導入が可能です。

一回導入してしまえば抽出は楽になるので、

・トライアンドエラーを繰り返しながら抽出条件を変えていく様な仕事の人

には強力なツールになります。前述の社長の様な経営分析を目的とする人だけではなく、たとえば営業やマーケティング担当者などです。これらの人は、自社がどのような顧客データを持っているのかなどを分析し、マーケティング仮説を立案して企画を立ててゆきます。この仮説を検証する段階において、このような人たちは抽出条件をたびたび変えながら試してゆくことになります。ところが、BIが入っていない会社の場合、抽出条件を変えるたびにデータ抽出機能の修正が必要になってしまい、その都度予算が必要になったり長期間待たされたりすることになってしまいます。このような状態では、自分の思考が途切れてしまうので、良い仕事ができません。可能であれば自分のPCで抽出条件を変えながら考えたいわけです。

そのような時にBIが真価を発揮します。

全くことなるジャンルの技術であるにも関わらず、二文字略語が似ているAIの陰に隠れてしまっていますが、BIはBIでうまく使えば強力な経営分析が可能ですし、会社の方向性を判断するためにタイムリーな分析結果を得られる可能性が高いものです。しかも、それほど高価でもありません。もしご自身の会社が社内のデータをうまく活用できていない、という状態なのであれば、BIの導入を一度検討されてはいかがでしょうか?

コラムの更新をお知らせします!

コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。