見ただけで分かることの重要性
コンサルタントをしていると、どうしても資料作りに時間を取られることが多いのですが、最近特にパワーポイントを使った資料を作ることが多くなりました。パワーポイントの特徴として①字が大きい、②図が描ける、③アニメーションなどの視覚効果が使えるといった点があります。グラフを書くならエクセルの方が優れている面もあるのですが、全体的にはパワーポイントのほうが「見ただけで分かる」資料を作りやすいと感じます。
「見ただけで分かる」ことの重要性は技術開発にも言えることのようで、モノの性質をデータで判別する技術を開発している事案でも、その結果を画面に出すときに数字ではなく静止画や動画にして出したい、さらにはスマートグラスなど直接作業者が「見ただけで分かる」仕組みに落とし込みたいというニーズがあることを強く感じます。
スマートグラスまで行かないにしても、スマホのカメラで撮った映像に何か付加的な情報をかぶせて表示する、でも良いわけです。たとえばですが、キノコの写真を撮ってそれが毒キノコなのか食べられるキノコなのかを画面の色で判別できるとすれば、結構なニーズがあるに違いないと思われますし、春先に竹林を撮影すると、どこにタケノコが生えてきそうかを画像の上で判別できればとても便利だろうと思うのです。
このように「見ただけで分かる」仕組みが持つ価値は経営においてもたいへん重要で、たとえ技術開発ネタでなくても、日々の経営状況から社員の健康管理、はては職場の清掃状況まで、「見れば分かる」はずの文字情報を、一加工するだけで「見ただけで分かる」画像に変えられることがあります。
それがどうした、と言われそうな話かもしれませんが、「見れば分かる」資料を進んで見てくれる人は、実は必ずしも多くありません。理由は極めて簡単で、わざわざ見るのがメンドクサイからです。人は忙しい以上にメンドくさがりな生き物で、どれだけしっかり作っても、厚いレポートや冊子になった資料を読んでくれる人は直接の関係者だけ、どうかするとその人たちも、最初の数ページに目を通すだけというパターンが少なくありません。資料作成のコツとして最初に「要約」を付けよと言われる理由がそのあたりにあります。
これに対して「見ただけで分かる」は、スマホやスマートグラス、パワーポイントのように、目に入った瞬間にメッセージが伝わる仕組みを使っています。見る人にメンドクサイと思われるより早く相手の目に必要な情報を投げ込んでしまう、と言った設計思想が込められている点がポイントです。
「見れば分かる」と「見ただけで分かる」は、ほんの少しの差なのですが、この辺りが意外な差になる場合も少なくないので、目の付け所として共有いただければと思います。
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