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目の前で異常が発生してもスルー。危機意識の薄い人達を変えるポイントとは

SPECIAL

チェーン企業のマネジメントの仕組み構築コンサルタント

株式会社ピアーズ

代表取締役 

マネジメントの仕組み構築のスペシャリスト。
これまで20年以上チェーン事業に身を置き、実際に15の組織のリーダーを務め、200以上の経営に関わり売上、利益を上げてきた経験を持つ。チェーン事業の売上が兆単位の企業や創業40年以上の歴史を持つ企業にさえマネジメント面の仕組みが1つも存在していない事に疑問を持ったことから、チェーン事業に共通するマネジメント面の仕組み構築方法を体系化。その効果は大きく、マネジメントの半ば自動化と質の向上により、クライアント企業は利益2~3倍増、業種によっては仕組み実装の初月から数値を跳ね上げさせる指導を展開している。

目の前で異常が発生してもスルー。危機意識の薄い人達を変えるポイントとは

 「お酒の販売免許が失効していた!」

経営者の背筋を凍らせる一大事。

かつて、とある企業で実際に起きた事です。

取引先の企業から指摘され調査したところ発覚したのでした。

 

幸いな事に免許が取れるまでは、その取引先が全部のお酒を一時的に買い取る形で預かってくれるとのこと。

難は逃れたと思いきや、その後にやってきたのは1円にもならない仕事の山。

 

 ・全ての商品の伝票を起こし

 ・移動処理

 ・穴の開いた売場をどうするのか?

 ・大量のお酒を誰がどう運ぶのか?

 ・それを請け負った社員達の通常業務は? 評価はどうなるのか?

 ・伝票と実数が合わない、どうなってる?

 ・再確認に次ぐ再確認

 ・当然、免許取得後はその逆の事をまた繰り返さなければならない・・・

 

あまりの不毛な仕事の連続に、実行部隊が抱いた不満は

 

 「もう勘弁して」

 「一体、誰のせいだ!」

 

 「なんで私が?」

 「こうなる前に防げなかったのか?」

 

実はこの事件、取引先の企業から「注意するように」と事前に担当者に助言があった事が後々に判明。

つまり、その時点で「それは大変だ」と会社で共有し、行動を起こせていたらこのような事態にまで発展することは無かったのでした。

 

 

 「伊東さん、これでいかがですか?」

ある社長から、自分の考えにブレが無いかの質問がありました。

そのねらいの1つにあるのは「働く全員の危機意識を高めたい」

 

店舗ビジネスの特徴は「働く人達と拠点が多い」です。

ただ、人や拠点は多くなるほど問題は発生しやすくなるもの。

 

もし働く人達が危機に鈍感であったとしたら・・・?

 

そんな組織は何かトラブルが発生する度に発見が遅れ、あらゆる問題は膨れ上がってから対処することになってしまいます。

下手をしたら「発見した問題がすでに会社の存続を断ってしまうほどにまで大きくなってしまっていた!」という事態も考えられます。

 

しかしそれとは逆に、誰もが危機に敏感になってくれますと、早期発見、早期解決ができ、組織の成長は他社を差し置いての独壇場となります。

その為、店舗ビジネスでは「働く全員の危機意識が高い」に越したことはありません。

 

ただ、これの実現は簡単ではありません。

 

どうしたら、働く全員の危機意識を高めていられるのか?

 

今回、そのポイントを1つ挙げますと

 「所有者の気持ちが伝わる組織をつくる」

です。

 

なぜ、目の前で「やがて会社の危機にまで発展するであろう問題」が発生していたのに、スルーされてしまうのか?

 

その大きな要因を挙げますと「従業員達は、所有者ではないから」です。

 

所有している人と

所有していないけど、それを利用している人。

これらは似ているようで全然違います。

 

脱サラして起業されたY社長がおっしゃいました。

 「自分が社長になって、それまでお世話になっていた社長の気持ちがよくわかりました」

 

Yさんは社員時代のある日、明日の会議の設営担当となったのですが、仕事がたて込んでいた為に「会場づくりは仕事が終わったらやろう」としていました。

やっとその日の仕事が終わり、時計を見るとすでに深夜。

 

 「今から会場づくりか・・・」

 「早く帰って寝たい・・・」

 

そこでふとよぎった考え。

 「誰も見ていないんだから、丁寧に運ばなくてもいいのでは?」

 

なんとYさんがとった行動は、椅子を一つずつ設置位置に乱暴に放り投げるという荒業。

 「細かな位置調整は最後にすればいいんだから」

 

ガゴン!、ゴガン!

深夜の会議室周辺には、放り投げられ盛大に転げ回るイスの音が響き渡りました。

 「こんな様子を誰かに見られたら・・・」

不安を抱えつつも、予定よりも早く会場設営が終わった当時のYさんが抱いたのは爽快感でした。

 

 「いや~、今考えたらあんな事してた私があり得ない」

 「もし、かつての私みたいな社員が現れて、うちの備品を乱暴に扱ってたら・・・まぁ許しませんよね」

 

 

モノの所有者と、所有者ではない人。

両者の考え方は根本から違います。

 

よって、社員が不測の事態に直面した時、

 「大変だ! 今のうちに何とかしなければ」

となってくれないことは、残念ながらあり得る事。

 

そして、その様子を見ていた社長が

 「なぜ、目の前で問題が起きているのに社員達はスルーできるのか?」

と疑問を抱くこともまたあり得る事なのです。

 

だからといって、社長が常日頃から

 「君達、会社の備品は大切に扱いなさい」

と言い続けただけで、伝わるのであれば苦労しません。

 

 所有者ならではの物事の考え方を、いかに従業員さん達にうまく伝えられるのか?

それには、何かしら工夫が必要なのです。

 

店舗ビジネスにおいて、この課題を後回しにしていてはいつまでも業績を上げていく事はできません。

 

それが解決されるまでに、

 「なんでその問題をもっと早いうちに解決できなかったの?」

不思議に思ってしまうような「遅期発見」「遅期解決」が繰り返されてしまうでしょう。

 

どうしたらその逆の

 「先ほどこんな問題が発生していましたが、〇〇さんがいち早く発見し、こう解決してくれたとのことです」

そんな報告ばかりあがる組織となれるのか?

 

 

確実に言えることは、そんな組織のリーダーは

 「次はこれだ」

 「その次はこうだ!」

そんな勢いのあるスピード経営が実現でき、ライバル達を抜き去っていけることでしょう。

 

 

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