イベントドリブンvsスケジュールドリブン

　

　前々回から、やっている仕事の”重要性”と”緊急性”の区別についてお話ししてきました。これに関係するものとして、今回は業務のイベントドリブンとスケジュールドリブンについて考察してみます。

　企業の中に関わらずですが、ひとりひとりの日々の仕事の進め方は大まかに2つに分類されると思っています。

　一つめは、外部からのトリガ(イベント)をベースに仕事をしていく、つまりイベントドリブンで動く人です。例えばその日はこれをやろうという定常的な仕事があるのですが、上司から、他部門から、あるいは直接顧客から依頼を受けて即その仕事に着手して消化していくパターンです。

　銀行窓口、役所窓口等顧客からのリクエストに応じて対応していく職務の場合は、必然的にこうならざるを得ないでしょう。そうでなくとも、まだ新しい職務の経験が浅い場合も、こまめに指示・指導を受けながら仕事を消化していくことになるでしょう。ここで問題にしたいのは、そういった職務でなく少し職位が上がって業務を管理していく立場になっても、その様な(イベントドリブンの)仕事の仕方をしてしまう人がいることです。

　一方分類の二つめは、基本的に何事も事前の予定に基づいて、自分が決めた日程(スケジュール)をベースに仕事をしていく、つまりスケジュールドリブンで動く人です。

　私は企業の中で、同じ様な職位にありながら毎日誰かにフォローされながら忙しそうに走り回っている人と、ほとんどの時間で落ち着いて仕事を粛々とこなしている人を見てきました。その違いは何だろうと考察した結果、このイベントドリブンとスケジュールドリブンのどちらで仕事をしているかの違いにあると気づきました。そしてその違いを生む原因は、前々回からお話ししている、仕事の重要性と緊急性を区別しながら進めているかどうか、という結論に至りました。

　イベントドリブンで仕事をする人は、緊急性に反応しがちです。リクエストが入ったから、今やっている仕事を止めてまずそれを対処しようとします。当然リクエストの中には、重要性の低いものも含まれているでしょう。そこを意識せずにリクエストに応えていくと、本来やるべき重要性の高い仕事が後回しになってしまい、いつかその期限が切迫して直ぐにやらざるを得なくなってイベントドリブンの仕事を繰り返すということになります。リクエストの中身が緊急性に加え重要性が十分高かったとしても、即応が要求されるのか、今日中に処理しておけば良いのか、あるいは明日で間に合うのか、によって今手元にある重要性の高い仕事を直ちに中断すべきかどうか判断できることでしょう。

　この様に緊急性をとにかく優先してしまう人は多いのです。仕事の切れの良いところでやればよいものを、今の仕事を中断してやってしまいたがるのです。個人の特性によるものかも知れません。この様な人は、リクエストにすぐ応えてくれるので、頼む方からすれば頼みやすい人になります。結果、さらにリクエストが集まってくる悪循環になっていることがあります。

　スケジュールドリブンで粛々と仕事をする人は、リクエストを受けた時点で瞬時に優先度を判断し、今すぐやらなければならないものでなければ自分のスケジュールに組み込みます。そして自分が決めたスケジュールに従って仕事を処理していくのです。そのメリットは何でしょうか。まず、自分が今集中している仕事を中断させないことです。一度作業・思考を中断してしまうと、再開時には多少なりとも事前準備のオーバーヘッドが必要となってしまいます。次に、類似の仕事をスケジュール上の同じ時間帯に集めておくことにより効率的にそれらを処理できることができます。

　以上、イベントドリブンとスケジュールドリブンの仕事の進め方の違いについてお話ししました。もちろん、仕事のやり方は人それぞれですが、私自身もそうであるように、何かを頼む人も、スケジュールドリブンで進めている人の方が品質と納期に信頼が置けそうと感じます。振り返って、皆さんはどちらでしょうか。