多くの社長が知らないコンサルティングと研修の違い
「先生、ウチの社長はコンサルタントを数人使っていますよ」
こう話すのは、暑い中、当社のセミナーにお越しになった住宅会社の営業部長です。
当社ではセミナー終了時に、参加者の方にアンケートを書いていただいています。目的は、セミナーの質の向上のため、コンサルティング受注の導線を探るため、です。
参加いただいた方々に、より満足していただけるように引き出しを増やしたいと思っています。
また、それによりコンサルティングの受注ができれば、ビジネスを行っている身としてはこの上ないことです。したがって、アンケートの設問は非常に重要であり、時折見直すことも必要になります。
アンケートにはこのような設問があります。
「コンサルタントを使った経験がありますか?」
「コンサルタント活用に不安はありますか?」
コンサルタントをうまく活用する社長は儲けているし、そのような社長が当社のクライアントになっていただける可能性があります。
また、過去にコンサルタントを活用するも、うまく活用できずに失敗したという経験をお持ちの社長の場合、個別相談などでその不安を払しょくする必要があります。
他にもアンケートから得られる情報はいろいろあります(個人情報の管理は万全にしています)。今回のコラムは、そのアンケート結果から「コンサルタントをどのように活用すべきか」「コンサルティングと研修の違い」について考えてみたいと思います。
冒頭の営業部長は「ウチの社長はコンサルタントを使って勉強会を開催しています」「勉強会には全社員が出席しています」「社長は出ませんけどね」と言って、書き終えたアンケートを手渡してくれました。
この時点で頭の中は「?マーク」でいっぱいになったのですが、すぐにコンサルタントと研修講師を混同していると気が付きました。
そもそも当社のセミナーに経営者の社長ではなく、社員の営業部長が参加されたことに違和感がありました。営業部長の参加がダメというわけではなく、その場合は社長の片腕として、社長と一緒に参加していただくようにお伝えしています。
営業部長を単独で参加させるのは、当社のセミナーを「研修」と勘違いしている証拠です。社員に「勉強してこい」と言って送り出しているはずです。
残念ながら、社員研修で会社が発展したとか、売り上げが大きく伸びたとかいった話は聞いたことがありません。当たり前です。社員研修は「対処」であり、根本的なビジネスの「変化」とか「次の一手」とかではないからです。
新しい市場を創って売上・利益を2倍3倍と伸ばしていきたいとか、フェーズを上げて会社を成長させていきたいとか、そういった願望や夢があるのであれば対処療法である社員研修では不可能です。それは理屈ではなく、肌感覚でお分かりでしょう。
もしあなたが、そういった願望や夢があるのであれば、専門のコンサルタントを活用して、新しいレールを敷くとか、新しい市場を開拓するとか、新しいビジネスモデルを構築するとか、そういった戦略が必須です。その戦略を実行するお手伝いをするのがコンサルタントであり、その内容がコンサルティングです。
したがって、自社の目指す方向性とコンサルタントのコンサルティングテーマが合致している必要があります。そして、そのコンサルティングに独自性と専門性はあるのかを見極めなければなりません。その場がセミナーです。決して社員研修のような方法論とかテクニックとか勉強ではないのです。
ここを間違えると、せっかくのセミナーが社員研修になってしまい、ビジネスの高度化や会社の成長のチャンスを失うことになります。くり返しになりますが、社員研修や勉強会で会社が大きく成長することはありません。
今よりももっと効率的に儲けたい、将来のために次の一手を打ちたい、社会的にも金銭的にも報われるビジネスを展開したい。
このような願望や夢をお持ちの経営者の方は、自身がその戦略を作り上げるべきです。決して社員に丸投げしてはいけません。社員は会社の構造的な課題を理解していませんし、それを実行する権限を持っていません。
会社を成長させていけるのは、社長である、あなたしかいないことを肝に銘じるべきです。
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