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会社の”信頼”を核にした経営計画づくり

SPECIAL

トラスタライズ=信頼を対価に変えるコンサルタント

トラスタライズ総研株式会社

代表取締役 

企業の「信頼を対価に変える」専門コンサルタント。独自の「トラスタライズ手法」を用いて、見えない信用や信頼を、目に見えるカタチに変え、対価へと変えることで多くの経営者から注目を集めている。企業経営において社会・顧客双方の価値の創出が求められる時代にあって、「信頼」を切り口に、顧客企業が売上・利益を向上させられる手法の研究・提言を行っている。

未来に向けた自社の理想や価値観、そこにかける熱意を具体化して落とし込むことが、経営計画の魅力や実効性を大きく向上させます。

今回のコラムでは、経営計画策定において重視すべき考え方についてご紹介していきます。世の中には様々な考え方や手法が存在しますが、自社が実現したい価値や周囲の人々との向き合い方をカタチにし、”信頼”を中核に据えることで、これからの時代に受け入れられ、実行につながる経営計画が生まれていくと当社は考えています。


■経営の拠り所としての経営計画策定

少し前に、東北地方で建設業を営むM社様より、中期経営計画の立案をサポートしてほしいとのご依頼がありました。社長の代替わりを控えており、後継社長が経営を主導していくにあたって何かしら拠り所となるものが欲しいとお考えだったこちらのM社様は、ポリシーとしてお客様や社会からの信頼を非常に重視しており、当社の掲げるコンセプトに共感頂いたことからご依頼を頂いたものです。

後継ぎであるM新社長は現社長のご子息で、大手企業で数年間勤務した後に後継ぎとして父親の会社に戻るという経歴を積んでおられました。外で学んできた経営計画を、自分の会社にも導入したいというのが今回のご依頼に至った元々の経緯です。

M社の周年行事がある2か月後には、社内外に発表したいというタイトなスケジュールのなかで、M新社長はこのように尋ねました。

「先生、まずは私が前に勤めていた会社の計画と同じように考えてみることでいいですよね?」

この問いに対し、私の頭の中にはある懸念がよぎりました。それは、他社の見よう見まねで経営計画を作成した場合、見た目はそれなりに整ったとしても、社内への浸透や実行の面でうまくいかない可能性が高いということです。


■経営計画導入の落とし穴

経営計画とは、これから会社が向かいたい方向性や到達地点を定め、そこに至る過程や施策を具体化した上で、日々その内容を皆で実行しながら必要に応じて軌道修正をかけていくためのツールです。

あくまでツールですので、必要な要素が埋まっていれば、とりあえず計画ができた、という状態にはなりえます。ただ、それだけでは単なるノルマとTo-doリストでしかなく、現場には「やらされ感」しか残りません。

それでも実行されるならばまだ良いでしょう。最悪の場合は形骸化し、社長やスタッフが労力をかけて策定したものの、普段は見向きもされず、半期や年1回などの振り返りのときだけ何とか乗り切ろうとして、意味のない辻褄合わせをする、という事態に陥ります

それはまさに社内のためだけの仕事であり、お客様や社会に対しては何の意味もないことですので、このような経営計画の作り方や運用では、より良い未来につながっていくはずもありません。ただ、”経営計画作り”という重たい仕事が増えるだけです。

このようにお伝えすると、M新社長は少し苦笑いを浮かべながら、このように言われました。
「確かに私の元いた会社でも、”中計”というとものすごく大変で、しかもそこまで工数をかけてやる意味があるのかわからない、と言っている人も結構いましたね・・・」

それを受けて、私は逆にこのように問いかけました。
「Mさん。だとすれば、本当に意味のある経営計画ってどんなものだと思いますか?」

M新社長はしばらく熟考されたのち、こうお答えにになりました。
「実行されることに意味があるとすれば…社員が実行したくなる、もっと言えば社員が達成しようと”燃える”ようなものが理想ですね。その結果として会社としても売上や利益につながっていくような…」

その後もしばらくやり取りを続けた後、M新社長がこんなことを言われました。
「なるほど、わかりました! お客様にとって価値があり、皆で必ず実現したい・情熱を注ぎたいと思えるものをまず決めて、それを計画に落とし込んでいくというのはどうでしょう?」

このとき、これまでご自身で悩み、考え抜いてこられたことが、議論をきっかけに1つのコンセプトとしてつながったように私には思えました。その後、詳細部分の議論を経て、M社の新時代のコンセプトやそこに懸ける新社長の想い、そしてそれを実現するための道筋を描いた経営計画が完成し、期限に間に合わせることができました。


■自社の価値観にあった経営計画策定を

前述の通り、経営計画というのはあくまでツールです。ですから、経営計画を立てること自体の良し悪しというのは場合によりけりで、あくまでその中身や使い方が重要になります。

この経営計画の策定や運用という分野においては、考え方や手法は実に様々です。例えば、社員の効率性を極限まで高めることを重視する策定手法があります。社員を機械のように扱うといえば聞こえは悪いですが、倒産・失業という最悪の場面を回避し、社員の安定した生活を長期にわたり実現していくためだということであれば、妥当性があると思います。

当社が経営計画策定をご支援する場合には、「顧客や社会にとって価値があり、社員が必ず実現したいと思えるもの」を明確にすることを特に重視しています。そのような価値を愚直に創造・提供することは必ず会社の成長につながっていくはずですし、社員が情熱を注げる仕事であることこそが、人材不足の時代においても中小企業が人材を確保し続けるための必須要素になっていくと考えているためです。

会社が創造しようとする価値が共感を呼ぶものであり、かつそれをきっと実現できると思ってもらえること。これはまさにその会社が社内外からの”信頼”を備えているということです。この”信頼”を中核に据えて、経営計画を通じて会社を動かしていく。当社はそのような考えに基づき、ご支援を行っています。

大切なのは、どのような経営計画をつくり、どのように運用していきたいのかをまずは吟味することです。あなたの会社、そして経営者としてのあなたは、どのような価値を生み出し、どのようにして社内外の人々と向き合いながら、ここから歩んでいきたいでしょうか。そのなかで大切にしたい価値観はなんでしょうか。

これを妥協することなく言葉にしていきましょう。自ずと、やるべきことが見えてくるはずです。

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