弱みを強みに変える取り組みとは
「強み作り」は、最近の当社がお勧めする市場対策の一つですが、なかでも技術開発は大変有力な対策となります。確かに一定金額の先行投資を伴うのですが、かけたおカネの分以上のリターンをチームで目指すことができるという決定的な要素があります。
A社は売上100億、従業員200名で、三代目の若手社長が率いる地元の優良企業です。ところがここ数年売り上げの伸びが鈍化すると同時に、様々な社会的要請に対応する必要が出てきて経営陣の負荷が急激に増えてきました。加えて取引先から新たに要請されたのが「2030年までにCO2排出量を半減する計画の提出」です。それまでは様々な課題に直面しても「現場が何とかするから」で乗り切ってきたのですが、事ここに至って「現場対応では限界がある」ということで、重要な経営課題として全社を挙げてこの課題に取り組むことが決定されました。
全社横断のプロジェクトチームが編成され、執行役員がリーダーに任命されました。まずは現状把握から始めようということで、全社のCO2排出量計測から作業をスタートしたのですが、排出量の削減を議論する段になると、どうしてもコスト増の話が中心になってしまいます。
現場力を軸として長年やってきた実力企業に共通する「弱み」がここに見え隠れします。つまり「これまでと同じメカニズム」でないと将来のことを考えられないというパターンで、「これまでと全く違うメカニズム」への変革を担う機能が欠落しているという「弱み」がその原因なのです。
もうお分かりかと思いますが、イノベーションを司る部署、つまり技術部あるいは研究開発部と言った組織を設けて対応しないと、日常の操業が主な任務である現場だけではそのような提案が出てくるはずもないのです。
まずは大学など外部の知見に助けを求め、現場の棚卸から始めるという選択肢はあながち間違っていないのですが、その段階で発見されたことにどこまで批判的な考察を加えることができるのか。現場で操業に関わっている方々からすれば、「現状すなわち正義」、というくらいの認識が強いのです。他方で、ゼロベースで技術を見直せる視点があれば、かなりのところまでメスを入れることが可能になります。
現場で取れたデータを科学の眼で鋭く分析することで、今まで見えていなかった改善機会や新しい可能性が浮かび上がります。それを一つ一つ証明し、課題解決の方策としてまとめるという仕事は、いかに経験値が高かろうとも、いや経験値が高ければ高いほど、現場に任せておける性質のものではありません。社内の受け皿として機能する「技術部」や「研究開発部」など、それに準じる組織が必ず必要になるのです。
これまでの実績を尊重しながらも、それに囚われることなく新しい解決策を模索することができれば、カーボンニュートラルへの取り組みもあながち不可能なものではなくなるのではないか、当社はそのようなご案内をしております。そしていくつもの実績が実ろうとしているのです。ご興味をお持ちの方はどうぞお問い合わせください。
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