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どうしてZoom会議を活用しても生産性が上がらないのか?(続編)

SPECIAL

ヘルスケアビジネス参入コンサルタント

株式会社ヘルスケアビジネス総合研究所

代表取締役 

ヘルスケアビジネス専門のドクター資格を持つ異色のコンサルタント。東北大学医学部医学科を卒業後、医療技術・ソリューションの発展に尽力することを決意。ジャパンバイオデザイン・フェローシッププログラム(スタンフォード大学発のシリコンバレー流医療機器イノベーションプログラム)参加などを経て、主にヘルスケア市場参入の支援機関、株式会社ヘルスケアビジネス総合研究所を創設。
これまで東証プライム上場企業を含む40社以上に対して新規事業・開発の指導および支援経験を持ち、ヘルスケア事業部の立ち上げも支援。2016年から2023年までのバイオデザインプログラム(年に1チーム最大4名)で関わった起業案件は5社、知財出願は4件、助成金獲得6件に達し、0→1の指導における高い再現性に定評がある。

皆さん、こんにちは。ヘルスケアビジネス総合研究所の原です。

今週は前回に引き続き、オンラインコミュニケーションの話をしたいと思います。今回のテーマは非同期コミュニケーションです。

突然ですが、皆さんはビジネスチャットツールを利用されていますか?Chatwork、LINE WORKS、Slackといったサービスがありますが、企業内ではまだ普及率は低く、まだ利用されたことが無い方もいらっしゃると思います。

先日こんな話を聞きました。弊社のメンバーが、別件で社内新規事業支援をお手伝いしているときのことです。ビジネスチャットを使ってコミュニケーションを始めたが、どうも効率が上がらないと言うのです。おかしいなと思って詳しく伺ってみると、どうも使い方というか、ツールに対する認識がずれているようでした。

非同期コミュニケーションの重要性

それはさておき、リモートワークの生産性を真に向上させるには、ビジネスプロセスの根本的な変革が必要です。その中心となるのが「非同期コミュニケーション」への移行です。Basecamp社の創立者、デイビット・ハイネマイヤー・ハンソン氏は、リアルタイムのコミュニケーションから非同期のライティング文化への移行が、リモートワークの成功に不可欠だと指摘しています。

非同期コミュニケーションとは、メールやチャットツール、プロジェクト管理ツールなどを活用し、リアルタイムでのやり取りを必要としないコミュニケーション方法を指します。非同期のメリットは、例えば、

  1. 時差や個人の生活リズムに左右されない柔軟な働き方が可能になる
  2. 深い思考や集中作業の時間が確保できる
  3. 議論の内容が文書化され、後から参照や検索が可能になる
  4. 意思決定のプロセスが透明化される

などがあります。

特に重要なのは、非同期コミュニケーションによって「深い仕事(ディープワーク)」の時間が確保できることです。カル・ニューポート教授が提唱した「ディープワーク」の概念によれば、高度な集中力を必要とする創造的な仕事こそが、真の価値を生み出すとされています。非同期コミュニケーションを導入することで、会議やチャットによる中断を減らし、社員一人ひとりが集中して仕事に取り組める環境を整えることができるのです。

冒頭のエピソードの方は、せっかくビジネスチャットを導入したのですが、電子メール代わりの連絡・通達に使っているだけでした。対面会議は今まで通り開催しており、社員の時間の使い方は変わりませんでした。そうではなく、より深い思考や集中作業が必要な業務を、ビジネスチャットやプロジェクトツールで効率化すれば、驚くほど生産性が上がることを体験できたのではと思います。

経営者に必要な非同期コミュニケーションの導入

前回と合わせて、ワーケーションと非同期コミュニケーションというリモートワーク2.0の核となる概念についてご説明してきました。では、経営者の皆様はどのようにしてこれらの概念を自社に導入し、真の意味でのリモートワークを実現すればよいのでしょうか。以下に、具体的な提言をまとめました。

  1. 柔軟な働き方の推進 社員が自由に働く場所を選択できる環境を整備しましょう。ワーケーションを含む「Work from Anywhere at Anytime」の概念を導入することで、社員の生産性と満足度の向上が期待できます。ただし、セキュリティ面での配慮は忘れずに行う必要があります。
  2. 非同期コミュニケーションの導入 リアルタイムの会議やチャットに依存しすぎず、プロジェクト管理ツールや文書共有システムを活用した非同期コミュニケーションを推進しましょう。これにより、時間や場所の制約を受けない効率的な業務遂行が可能になります。
  3. 成果主義の評価システム構築 勤務時間や場所ではなく、成果に基づいた評価システムを構築しましょう。これにより、社員の自律性と責任感が高まり、生産性の向上につながります。具体的な目標設定と定期的なフィードバックが重要です。
  4. セキュリティ対策の強化 ワーケーションやリモートワークの導入に伴い、情報セキュリティ対策を強化しましょう。VPNの利用やデバイス管理など、適切な対策を講じることが重要です。また、社員へのセキュリティ教育も忘れずに行いましょう。
  5. 企業文化の醸成 リモートワークやワーケーションを単なる制度としてではなく、企業文化として根付かせることが重要です。経営者自らが率先して新しい働き方を実践し、その価値を社内に浸透させましょう。
  6. デジタルツールの活用と教育 効果的な非同期コミュニケーションを実現するには、適切なデジタルツールの選択と、それらを使いこなすための教育が不可欠です。社員のデジタルリテラシー向上に向けた取り組みを積極的に行いましょう。
  7. 心身の健康管理サポート リモートワークでは、社員の心身の健康状態を把握することが難しくなります。定期的なオンライン面談や健康診断の実施、メンタルヘルスケアの充実など、社員の健康をサポートする体制を整えましょう。
  8. コミュニケーションの質の向上 非同期コミュニケーションでは、文書による明確で簡潔な意思伝達が重要になります。社内でのライティングスキル向上のためのトレーニングを実施するなど、コミュニケーションの質を高める取り組みを行いましょう。

リモートワークが切り拓く未来

ワーケーションと非同期コミュニケーションは、リモートワーク時代における新たな働き方の可能性を広げるという話をしてきましたが、実際にうまく導入することで、社員の生産性向上とワークライフバランスの改善に繋がります。確かに馴染みのないサービスを活用することには抵抗感がありますが、推し進めていけば徐々に慣れますし、一旦このような業務体制に変わると、便利で後戻りができなくなるはずです。リモートワークの導入は、その第一歩となるでしょう。皆様の組織が、この新しい働き方を通じてさらなる成長と発展を遂げられることを心より願っています。

このコラムでは医療・ヘルスケアビジネスに関係する情報やノウハウをお送りしています。

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最後までお読み頂きありがとうございました。

 

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