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リーダーの言葉が企業文化を創り上げる、最初の一歩はこれ

SPECIAL

組織の成長加速コンサルタント

株式会社グロースサポート

代表取締役 

組織の成長加速を促し、業績躍進を実現させる辣腕コンサルタント。これまで130社以上の企業において、経営者のコンサルティング、経営幹部、経営リーダーの育成に携わる。組織とリーダーの成長段階を知り尽くし、経営者と同じ目線で語ることのできる希有なコンサルタントとして活躍中。

 

ご支援先のある企業の次期幹部候補であるリーダーの一人、Sさん専門性の高い仕事をしている方でした。

勉強熱心なK社長も、「Sは本当によく勉強していて、知識の幅も広い」と称賛するほど、相当なレベルの方です。K社長の会社は、業績は絶好調が続いていました。新卒社員も同業他社が驚くほどの人数が入社しています。

上場を視野に入れつつ社内体制を整え始めており、K社長のSさんへの期待は高まっていました。Sさんは優秀ではありましたが、一人では到底やりきれないことは明白でした。今はSさんと社員一人、パート一人の体制も、4年後には社員3名体制にする計画です。さらにSさん次第では、複数の部門をまとめ上げ、20名弱の部門のトップになるシナリオもあります。

K社長は会社の未来の姿をSさんとよく共有していました。K社長の話を聞く中で、Sさんは自分が成長することで将来の選択肢を様々に考えるようになっていました。


 

しかし、Sさんは自分の部下に対して非常に厳しく接することで知られていました。私が支援を始める3年前にSさんが中途で入社していました。Sさんが入社して半年で直属の社員が辞めてしまったそうです。それから2名の社員が入りましたが、一人は異動を希望しました。残った一名の社員も元気がなく、周囲の部課長からも心配の声が上がっていました。

そんな状況でK社長から追加のコンサルティングご依頼をいただきました。K社長は既にマネジメント技術を実践されており、役員や一部の部長の成長を実現されていました。私は当初お断りしましたが、K社長は「新規事業に時間を使うべきだ」と考えてました。私も、K社長が第3の事業の立ち上げ準備に奔走されていることは承知していたので、私はSさんへのコンサルティングを引き受けました。

 


 

Sさんと、他の3名の幹部候補の方々のコンサルティングを実行する前に、私はSさんの上下左右の方々にヒアリングを行い、その内容をSさんと共有しました。

Sさんへの要望として共通していたのは、部下への言葉遣いでした。この点についてSさんに確認すると、Sさんは「そんなにひどい言葉を使っているわけではないですけど」と疑問を呈しました。しかし、5名中4名が同じ指摘をしていることに驚き、「そんなひどい言葉、使っていますか?どんな内容ですか?」と戸惑っていました。

周りからは「ひどい」と評されるSさんの言葉ですが、Sさん自身はそのことに全く気づいていない様子でした。もし、私が「本人は気づいていないようです」と伝えると、周囲は「そんなわけはない」と反論する事態になったはずです。

リーダーの資質として、人を勇気づけ、励まし、気持ちよく動かすことが大切だとSさんも知っていました。しかし、実際にはそれができていませんでした。私は逆に、Sさんにリーダーとして人のやる気を削ぐこと、人を傷つけること、人を嫌々従わせることはやめるべきだと確認すると、Sさんは「自分はそんなことしていない」と主張しました。ご自身では気づいてなかったのです。

リーダーだからといって完璧になる必要はありませんが、致命的な弱点は改善する必要があります。Sさんの場合、部下に対する言葉がそれに当たります。Sさんの無意識の言葉は、彼にとっては部下を前に進ませるためのものでした。

Sさんにとって、K社長の会社は4社目でしたが、Sさんが新入社員で入社した会社はいわゆるブラック企業で、毎日直属の上司だけでなく隣の課長からも罵倒され続けていたそうです。Sさんとしては、その時の2年間のおかげで今の自分があると信じていました。Sさんが無意識に使っている言葉は、Sさんにとっては悪い言葉という認識よりもむしろ部下を前に進ませるための言葉だったのです。

 


 

リーダーとして、部下を率いて部下の成長に責任を持つ時、リーダーは使う言葉を意図的に使う必要があります。しかし、リーダーになるまでには言葉を意図的に使い分けるという経験をしてこない人が多いのです。なんとなく使う言葉は、Sさんのように、その人の育った環境、経験した環境、性格というものと紐付いていて、何の躊躇もなく口からでてきてしまうのです。

一言注意して直る人もいれば、何度注意されても直らない人もいます。これは言葉に対する感覚の違いによって大きく左右されます。しかし、それは何も道具や方法論を持ち合わせないからであり、言葉の感覚に左右されてしまうのです。「何度注意してもあいつはダメだ!」ということになります。

リーダーの「言葉の技術」をマスターしてしまえば、誰でもこれを変えることができます。Sさんもそうでした。今、Sさんは「人を勇気づけること、人を励ますこと、人を気持ちよく動かすこと」を実践できるようになりました。部下に対する傷つける言葉もなくなり、部下も笑顔が増え、他部署とのコミュニケーションも円滑に進んでいます。

 


 

先日は別の部門の社員から、「Sさんからこんな言葉を掛けてもらって、すごく自分が成長している実感ができました!」という声を直接聞く機会もありました。Sさんの変化が部下にも確実に伝わり、チーム全体の士気が上がっていることを実感しています。直属の部下も、げっそりしていた頃とは打って変わって、笑顔が増え、他部署との人とのコミュニケーションも円滑に進んでいるとのことでした。

 


 

企業の文化は言葉から変わります。社員が使う言葉を変えることで、企業のパーパス、ビジョン、ミッション、バリュー、理念、使命、行動指針の徹底につながります。「どうして弊社がご支援する企業が急速に業績を改善し、それが持続するのか?」もちろん、私だけが行うわけではありませんが、社長やリーダーの方々と共に、社員が使う言葉を変えていくからです。これがマネジメント技術の根幹でもあります。

前述したように、「行動は、言葉よりも雄弁です」が、社員の言葉を変えずに、行動を変えることはできないのです。

マネジメント技術を習得したリーダーが増えれば増えるほどに、社内で使われる言葉が変わります。企業のパーパス、ビジョン、ミッション、バリュー、理念、使命、行動指針の徹底とは、マネジメント技術に組み込まれていなければ、いつ徹底されるか、とても見通すことは叶いません。いつ、言葉を変え、行動を変え、文化を意図的に創り上げるのか、これは経営の重要課題の一つです。

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