信頼を「資産」に変えて会社経営に活かす
信頼を会社経営における「資産」と位置づけ、意図的に蓄積・活用していくことで、長期的な売上・利益向上への貢献をもたらすことができます。
今回のコラムでは、「会社経営において信頼とは資産である」という考え方についてお話ししたいと思います。信頼を資産、つまり売上や利益を生み出す役割を持つものとして捉えることは、あなたの会社の収益獲得の道を増やすという点で非常に大切です。
■信頼が持つ「対価を高める効果」
過去のコラムでも少しご説明していますが、「信頼」には買い手にとっての「価値」と「対価」を結びつける働きがあります。一般的に製品やサービスを購入する際、買い手は対価を支払います。よく、製品やサービスが持つ価値に見合った価格が対価だと言われますが、それは厳密に言えば不十分です。多くの場合、買い手が支払う金銭は、製品・サービスの価値を完全に理解した上で支払われるのではなく、あくまでも価値の期待値、つまり実際に価値を享受する前に想像しうるメリットに対して支払われるものだからです。
例えば、髪を切ってもらう、というサービスを美容師さんにお願いするケースを想定してみましょう。特に初めての美容師さんに依頼する場合には、実際に仕上がりに満足いくかは不透明な場合がほとんどです。カット例の写真を見ても、自分に落とし込んだ場合のイメージはしにくいですし、接客やシャンプーなどそれ以外のサービスの部分もあまりよくわからないながらも思い切って予約を入れてみる、といったご経験は多くの方がされているでしょう。
そしてこのようなサービスでは、仮に結果的に満足がいかない部分があったとしても、返金などはなされないケースが多いでしょう。もちろん、サービスをする側の致命的なミス、美容室であれば例えば極端に短く切り過ぎてしまった、といったことがあれば話は別ですが、基本的にお願いをした時点で、最終的な価値は不透明ですが支払いは確定しています。
製品の場合も同様です。例えば新しくスマートフォンを買う場合、今のものよりももっとサクサク動くとか、きれいな写真が撮れるとか、そういった価値に対する期待をもって購入に踏み切るはずです。しかし実際に購入してみて、そこまで大きく変わらなかったとか、3年は使おうと思っていたのに1年でバッテリーが駄目になってしまったとかで、結局は対価に見合った価値を得られなかったということも少なからずあります。
つまり、買い手側からすると、金額に見合った価値を実際に受け取れるかどうかの確証がないなかでも対価を支払わなければならない、という事態が日常的に発生するということです。そして買い手にとっての不確実性を緩和し、実際の支払額に近いレベルまで価値の期待値を高める効果を持つのが、企業や製品・サービスが持つ「信頼」であるといえます。
■信頼という名の資産が利益を生み出す
このような「信頼」をうまく構築・活用できていないと、支払う価格に対して買い手の不安を十分に取り除けない場合に、「やっぱり買うのはやめておこう」となって成約につながらなかったり、値引き交渉を持ちかけられたりすることになります。
逆に言えば、信頼を一定程度蓄積し、うまく伝達できていれば、購買に踏み切ってもらえるということでもあります。つまり、信頼は対価を引き上げる効果を持つということになります。しかも、その信頼を裏切るような行為をしなければ、目減りすることもありません。この意味で、「信頼」とはまさしく経営における資産であるということができます。
ただし、資産と言っても、設備や建物といった一般的な資産とは異なります。設備や建物は、大きな災害やトラブルでもない限り、そんなに簡単に壊れることはありませんが、信頼は些細なきっかけからでも失われることがあります。
そのようなリスクを避けるためには、「自社の信頼とは具体的には何であり、どうすればその信頼に応えられるのか、どうすれば信頼を構築していけるのか」といった問いを、従業員が理解し、日々の行動に落とし込めていることが非常に大切です。「信頼」という言葉は人によって理解が異なるケースもあるので、「お客様への提供価値」という考え方でもよいでしょう。
多くの場合、企業の「信頼」は「買い手がその企業に期待する価値を、期待通りに提供してくれた」という実績によって積み上げられていきます。既に対価を支払ってくれた買い手に対し、約束した価値を提供する(もしくはそれ以上に提供する)ことが、信頼につながるのです。だからこそ、その根幹となる自社の創造価値を明確化し、日々の企業活動の中核・目的に据えるなどしながら、会社全体でその価値を提供し、信頼を得るという取り組みを続けなければなりません。
■「信頼」資産を効率的に蓄積・活用するために
ひとたび信頼を積み上げることができたら、前述の通り中長期的に企業の売上・利益を下支えする「資産」となりえます。他社が容易に模倣できるものでもないため、大きな差別化ポイントにもなるはずです。また、信頼を大切にし、具体的に実施することを明確化できている企業は、社内外の人にとっても魅力的な存在になりますので、採用や定着など、人材活用の面でもプラスに働くでしょう。
この状況を実現するには、自社の創造価値や信頼を明確に定義する、というところからスタートし、それを日々蓄積していけるような業務の仕組みや、従業員への浸透等、様々な施策を段階的に進めていく必要があります。現在顧客から対価を得られている企業であれば、何らかの創造価値や信頼は存在しているはずですので、そこにスポットを当てて最大限活用していくこと。それが当社が掲げるトラスタライズ戦略の要諦です。
必要な施策を進めていくことで、着実に効果が積み上がっていく取り組みですので、あなたの会社でも是非、信頼を経営の根幹に据えて成長の原動力に変えていくことをご検討ください。
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