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顧客にメンバを差し出してしまっていませんか?

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プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりコンサルタント

株式会社プロジェクトメンターコンサルティング

代表取締役 

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりの専門家。大企業において情報制御システム及び量産製品の設計・開発に携わり、SE及びPMとして約25年にわたりプロジェクト運営・管理を経験。
システムは列車の運行管理、河川管理、ダム制御、衛星画像データ処理、医療分野、セキュリティ分野等幅広く、官公庁案件から民間案件まで性格の違う数々のプロジェクトを成功に導く。関わったプロジェクトは300以上。

むかし、あるプロジェクトマネージャ(PM)とプロジェクトメンバに同行して、顧客先を訪問したことがあります。訪問の目的は、顧客先に最近納入したシステムで発生した障害の原因と対策方針の報告です。

私は障害を起こしたシステムには関わっておらず、同じ顧客の別なシステムを担当しており、そちらの打ち合わせもあったので同席することになったのです。

そのPMは、事前に準備してきた報告書の要旨部分を説明すると、後の説明をメンバに振りました。「あ〜、そう来たか」と私は思いました。顧客から、PM自身が把握しきれていない細部について聞かれたのならともかく、最初から担当に振るという進め方は、私はやらないからです。

PMは基本的にプロジェクトの全責任を負っているので、障害報告に際しても、まずはPM自身がすべてを報告するべきと思うのです。そのうえで、顧客から質問を投げかけられたら自分で答えられることはできるだけ答え、自分で答えられない細かい点に質問が及んだらメンバに説明を頼む、ということはあってもよいでしょう。

まあ、ここまでは、違和感を持ちつつもPMのやり方も人それぞれだなあと思うぐらいでした。ところが、報告内容が障害の対策方針に入り、顧客からその対策方針の妥当性について鋭い突っ込みが入ったとき、そのPMはあろうことか顧客と同じ側に立ってメンバを追求し始めたのです。私は、「さすがにそれはないだろう〜」と思って見ていました。

繰り返しますがPMはプロジェクトの全責任を負っているので、顧客の疑問、叱責はまずPM自身が受け止めるべきです。顧客と対するとき、物理的にはPMの横にメンバが着座していても、論理的にはPMが顧客の前面に立ちメンバはその後ろでPMの補助をする、というイメージがあるべき姿でしょう。

ところがそのPMはメンバを顧客の前に差し出し、自分は直接顧客と向き合わず、そればかりか顧客の疑問に対して追い討ちを掛ける様にその場でメンバを責めました。「この報告書は、プロジェクト内で揉んだうえで、PMが承認して持ち込んだものではないのか?」「PM自身が内容を理解しないまま、報告書が作成されここに持ち込まれたのか?」という疑問が湧いてきます。

百歩譲って、他のことで多忙な中、顧客への報告期限が迫ってきているので多少生煮えでも報告に来ることになってしまったということはあるかも知れません。そうだとしても、PMがメンバを前に顧客側に立つというのはやってはいけないことです。

宿題をいただいて顧客への報告が終わってから、私はメンバを観察していましたが、そのメンバは報告の場で起きたことは特に意に介していない様でした。いつもその様な調子なのでしょう。私は、そのPMの纏めるプロジェクトでは、メンバとの信頼関係を構築できているのだろうか、と大きな疑問を持たざるを得ませんでした。

責任のある皆さんは、自分の部下を顧客前に差し出すという様なことをしていないでしょうか?

 

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