業務システム導入プロジェクトの管理責任は誰に?
これはほうぼうの会社で実際に起きていて、問題になることが多い命題なのですが、業務システムを導入するプロジェクトの管理責任はいったいどこにあるのか?というお題で話をします。
例えば、ある業務システムを導入することを決めた企業(以後導入者と呼びます)があったとします。当然導入作業をしてくれるITベンダーが決まっています。中規模以上のシステムの場合、彼らからはプロジェクトのキックオフまでに体制を提案してくるはずです。その中にはプロジェクトオーナー、プロジェクトマネージャー(以後PM)、各種リーダーやメンバーの名前が組織図として記載されているはずです。そして、導入する企業側の役割も示し、人の名前を入れるようにお願いしてくるはずです。
導入者側もそれに従って人の名前を入れることでしょう。導入責任者は社長か担当役員の場合が多いはずです。人の名前を入れる程度のところまでは、誰も疑問を持たないはずです。ところが、ここにきちんと確認をしておくべきとても大切なことが隠されています。それは・・・
誰がこのプロジェクト「全体」のPM責任を持っているのか?
です。導入者側の人に聞けば、100%「ITベンダーのPM」と答えるでしょうね。しかし、ITベンダーの中には、顧客企業の組織のプロジェクトタスクまでマネジメントする気は無い、という会社があるのです。いえ、その方が多いかもしれません。そもそもITベンダー側のPMから見て、顧客企業の社員が言うことを聞いてくれる確約はありませんし、どんな性格の人なのかも知りませんから、責任を持った管理は到底無理、という言い分があるからです。これもまた正論です。問題なのは、プロジェクト管理責任について、双方が都合の良い様に解釈したままプロジェクトがスタートしがちである、ということです。
つまり、導入する企業側は、ITベンダーにお任せしておけばプロジェクトは進んでいくと思っていますし、ITベンダー側は顧客企業の作業まで責任は負いきれない、と思ったままでプロジェクトが開始してしまう、ということです。この状態のままプロジェクトが進むと、いずれ問題が表面化します。たとえば、顧客側の作業が遅れ、その結果プロジェクト日程そのものが遅延した場合、ITベンダー側の立場で言えば「導入者側の作業が遅れたことが原因だから、その責任は導入者である顧客にあり、費用が発生するならその負担は顧客だ」ということになります。導入者にとってみれば、これは納得行くことではありませんね。お金がからんでいることなので、下手をするとトラブルに発展してしまいます。
これを避けるためには、プロジェクト体制を定める際に、プロジェクト管理責任についてきちんと具体的に議論して決めておくしかありません。なるべく具体的に例をあげ、それをどのように管理してゆくのか、双方の権限や責任範囲をきちんと決めておくのです。先に述べた通り、すべての責任をITベンダーに丸投げすることはできません。導入者側もプロジェクトタスクの進捗を管理し、ITベンダー側のPMの管理が手薄だったり認識が甘い様なことを発見したら、ただちに対応をとるなどの工夫と努力も必要なのです。
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