潰れない会社になるための資金繰り改善
会社を倒産させないためには、お金が必要です。仮に売上がゼロでも、会社のお金さえあれば、存続できます。一方で、売上が増えても、会社のお金が尽きてしまったら、倒産します。
だからこそ、資金ショートを引き起こさないように、銀行融資などを活用した資金調達は、社長にとって最も重要な仕事です。
しかし、資金調達は、場当たり的な対処療法でしかありません。本当の意味で資金繰りを安定させて、お金の不安から解消されたいならば、「お金が残る仕組み」を作ることが必要です。
なぜなら、会社経営の問題は、100%お金で解決することができるからです。企業の倒産理由として挙げられる、販売不振や人手不足も、お金で解決することができます。
例えば、従業員を増やすために給与ベースをアップしたり、生産性を高めるために最新の設備に投資したり、売上拡大のために広告を出すことも、お金さえあれば可能です。
だからこそ、最優先で取り組むべき仕事は、会社に「お金が残る仕組み」を構築することなのです。
お金が残る仕組みを構築している社長が意識していることの1つとして、「入金と支出のタイミングをコントロールすること」が挙げられます。
売上を上げるためには、材料の仕入れや外注費の支払いが発生します。従業員へのお給料の支払いも必要です。ですが、多くの場合、売上の入金よりも、支払いが先行します。
いくら売上が上がっても、入金がない状態で支出ばかり増え続ければ、資金繰りは苦しくなります。
特に、受注型に事業や下請けといったビジネスモデルの会社は、支出が大きく先行して、入金までのタイムラグが長いケースがほとんどです。
そのため、可能な限り支出より入金が先に来るように、あらゆる取引を見直す必要があるのです。
その上で、どうしても解消が難しい場合には、銀行借入を上手に活用して、支出後も「手元の資金に余裕がある状態」を作ることも、検討しなければなりません。
ただし、注意しなければならないのが、「銀行借入に依存しない」という意識を持つことです。
会社経営において、銀行借入は悪いことではありません。しかし、借入に頼りすぎた結果、雪だるま式に返済額が増えていた、というケースも珍しくありません。
また、一日も早く返済したいと考え、借入金の返済ペースが早すぎたり、毎月の支払金額が重すぎたりして、いつまでもお金が残らない状態になっていることもあります。
銀行借入を活用するときは、銀行の担当者に言われるがまま借りるのではなく、社長が財務の知識を持ち、自社の経営状況を踏まえた計画を立てることが必須なのです。
資金繰りが厳しい会社が考えるべきことは、「いかに手元の資金を増やせるか?」です。
そのためには、銀行や取引先に交渉して、一時的に返済を軽減する必要もあります。
事業経営において、資金の余裕は心の余裕です。お金の不安があると、社長はお金のこと以外は考えられません。その結果、良い経営ができなくなり、業績は悪化します。
一方で、お金の不安が解消されれば、経営について考える時間を多く取ることができ、その結果、改善が進み、業績は好転します。
だからこそ、銀行や取引先と相談して、「経営のことを考える時間を確保する」ことが大切なのです。
資金繰りの改善は、一朝一夕でできるものではありません。会社の規模・業種にもよりますが、お金が残る仕組みを作るためには、数百から数千のチェックポイントがあります。
これらを少しずつ、コツコツと改善することが、数年後の資金繰り安定につながっていくのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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