多くの店舗ビジネス企業に残っている、退職者が出続ける風習とは?
「会社を辞めたいという相談を、上長がずっと無視していた」
ある企業で発生した問題です。
理由は、自分のせいで辞めたいとなってしまった社員の存在を、会社に知られたくなかったから。
「申し出を無視していれば、退職を諦めて仕事を続けてくれるのではないか」
そんな上長のひどい対応が、退職するかどうかを決めかねていた本人の意思をますます強固にしてしまい、結局は会社を去ってしまったのでした。
店舗ビジネスの特徴は「働く人が多い」です。
よってヒト、モノ、カネのうち、他業態よりも、ヒトが特に重要となります。
いかに人の本気を引き出し続けられるか?
働く人が多くなる店舗ビジネス企業において、これが確立できた企業は各段に業績を伸ばしていく事ができます。
「伊東さん、私が考えたこの方法に問題はありませんか?」
かつてある社長からこんなご相談をいただきましたが、その企業は今や誰からも本気を引き出せるようになり、それまでの倍の利益を得られ続けています。
しかし店舗ビジネスにおいて、人の本気を引き出し続けられるようにする事は簡単ではありません。
困った事に「人を大事にする会社」と高々と掲げている企業であっても、退職者が止まらない・・・
そんなケースもめずらしくないからです。
さて、なぜ「人が大事」と言ってる企業であっても、そうなってしまうのか?
その理由の1つにあるのは
「退職者を生み出し続けてしまう、古き風習が残ったままになっているから」
ここで社長に質問です。
貴方は会社の大事なお金を、何の仕組みやルールも無しに
「○○君、このお金の管理を任せたぞ」
と、社員もしくはスタッフ個人にポーンとお任せすることができますか?
何が言いたいのかと言いますと、
企業経営で重要な3つの要素、ヒト、モノ、カネのうち、昔から何故かヒトだけがずさんな管理がなされているということです。
例えばカネ、お金の扱いですが、これはほとんどの企業で「これでもか」というくらい正確かつ、厳重に管理がなされているのが当たり前で、
「お? これだったら少しくらい懐に入れられるのでは?」
などと思われるようなスキは、存在していないのではないでしょうか?
ではモノは?といいますと、わかりやすい例は小売業などの商品です。
貴方は、何の仕組みやルールも無しに、
「君はいくつ仕入れてもいいし、いくつ売ってもいい。いくつ在庫をもってもいい」
「全て君に任せるから、数字を上げてくれ」
など、できるでしょうか?
もしそんなことを許してしまっていたら、日に日に問題が多発して、やがては大きな損失を被る事は避けられないでしょう。
では、ヒトはどうでしょうか?
問題なのは、多くの企業において、昔からこんなやり取りが当たり前になってしまっている事です。
「○○店のスタッフ教育は、あの店長がうまくやってくれているはずだ」
「何だあの子は? ○○君、ちゃんと指導してるのか?」
そこには仕組みもルールも存在しません。
ただ単に お任せ です。
お任せにしていますと、チェックが機能しません。
社長の耳に入る情報はほとんどが「結果」です。
それは
「○○さんが、どうやら会社に疑問を抱いているようです」
ではなく
「○○さんが、辞めたいと言ってます」
です。
さて、すでに退職の意志が固まってしまっている人を
「やっぱり頑張ります」
と、180°変えることができるでしょうか?
私が言いたい事、それは
ヒトは人任せにしてはいけない!
会社として、何か手をうっていなければ、昔から存在する「ヒトは人任せ」がそのままになっていて、コントロール不能な「結果」ばかり生み出し続けていきます。
せっかく会社に入ってくれた人が
・稼げるヒトとなるのか?
・それとも、挫折してしまうのか?
それは全て上長任せなのです。
上長のさじ加減です。
下手をしたら、上長の「虫の居所」で、その人の人生が左右されかねません。
果たして会社がそのような状態で、社長が望んでいるような人材はどんどん増やしていけるのでしょうか?
社長の意向を無視して、上司によって指導、対応が違ってくる・・・
そんなことはあってはならないことです。
ヒトとどう向き合ってほしいのか?
社長のその想いを、各部署長はもちろん、全社員、全スタッフに至るまでブレなく浸透する仕組みやルールが必要なのです。
・その為に何が必要なのか?
・どうしたら、本部から離れた店舗でも徹底できるのか?
工夫を重ね、実現しなければなりません。
そしてもし、そのヒトを人任せとしない仕組みができあがりますと、社長は
「この人の上長は、ちゃんと教育してくれているのだろうか?」
と不安を抱くことはありません。
その逆で、社長が接する従業員達には
「どうだ? 面白い会社だろう!」
「君は日々楽しくて、しょうがないんじゃないの?」
と、自信満々で接することができるのです。
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