お金に困らない会社の財務戦略
金融機関との関係性は、会社経営において、とても重要な社長の実務です。金融機関と良い関係性が築けていれば、攻めの経営を実践するための資金調達にもメドがつきます。そのため、積極的にたくさんの打ち手を実行することが可能です。
一方で、金融機関との関係が悪化すると、社長の頭の中は「お金」のことでいっぱいになります。資金繰りや資金ショートの不安を常に抱えている状態で、守りの経営だけで手一杯になってしまうのです。
そのため、当然ですが、金融機関とは良好な関係を築くべきなのですが、ここでやっかいなのが、金融機関の態度は常に同じ状態ではないということです。
自社の経営状況だけではなく、銀行側の経営状況などにより、日々、変化していきます。銀行や支店の方針、担当者の力量等、金融機関との関係は、様々な不確定要素の中で成り立っているからです。
つまり、金融機関との関係性は、まさに「生身の生き物」と考えるべきなのです。そのため、良くも悪くも「急に金融機関の態度が変わる」というのは、珍しい話ではありません。
長く付き合える金融機関もあれば、入れ替わっていく金融機関も存在する。これは当たり前のことと考えて、いかに上手に金融機関と付き合うか、ということを真剣に考えなければならないのです。
ここで重要な視点が、「今の関係性が良くなかったとしても、挽回するチャンスはある」ということです。
また、逆も然りで、「今の関係性が良いからといって、ずっと良いとは限らない」ということも、しっかりと頭に入れておく必要があります。
つまり、社長は金融機関との関係性について、常に「良い意味での緊張感」を持っておかなければならないのです。
何の戦略も持たずに、ただただ漠然と銀行交渉に臨んだり、あるいは銀行の担当者に言われるがままの条件で資金調達したりすれば、「今」はなんとかなっても、「未来」は不確実なものになってしまいます。
仮に、金融機関の態度が急変し、突然、融資をしてもらえないという状況に見舞われても、慌てることなく経営の舵取りができるような体制づくりや、自社の財務戦略を持つことこそがとても重要なのです。
そうすれば、仮に一時的な金融機関との関係性の悪化が発生したとしても、再度、良好な関係性を築くことができるようになります。
社長は常に「今」と「未来」を見据えて、銀行交渉や資金調達を考えなければならないのです。
一昔前までは、銀行からお金を借りるためには、「社長個人が連帯保証人なる」「不動産を担保に入れる」といったことが当たり前でした。
しかし、今は時代が違います。社長が財務の知識を身につけ、財務の実務を実行し、正しい方法で銀行と交渉すれば、無担保・無保証での資金調達は誰でもできます。
本質的に自社の経営を良くした上で、自社独自の財務「戦略」を持つことが大変重要なのです。そして、その戦略をしっかりと「実践」することで、多くの金融機関と良好な関係を築くことができるのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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