ハノーバーメッセ2024で聞いた「SAPのひとこと」
昨年に引き続き、ドイツのハノーバーで例年開催されているハノーバーメッセを見てきました。ITのみならず、総合的な産業展示会であるため、展示ジャンルは機械・エネルギー・サステナビリティ、IT、AIなど、多種に及ぶ大規模な展示で、主催者による今年の実績では13万人の参加者、4,000社の出展があったそうです。
さて、そんな中で私が特に気になったことが一つ。それは大企業向け基幹システムパッケージで有名なドイツの企業SAPの広報担当者がブースで語っていた一言。
Vertical Interoperabilityがこれからは特に重要だ
です。いきなり専門用語で恐縮ですが、日本語にすると
・サプライヤーから顧客まで垂直方向に
・複数のシステムを接続したり組み合わせて使用したときに、きちんと全体として正しく動作する有り様
を意味します。もっと簡単な表現をすれば、仕入れから販売・顧客先まで、会社の壁を超えた複数のシステムが相互に接続されデータをやりとりできる能力、という説明をするのが良いでしょう。
これをSAPが重視する理由はいくつもあります。仕入れ先のシステムと接続できれば納期の最短化や仕入れの最適化もできます。顧客のシステムと接続できれば、生産計画の最適化や在庫の最適化が狙えます。これらによって、効率的な生産活動を追求できる、という訳です。着目点を生産性以外に向けると、輸送費や消費エネルギーの削減にも繋がります。
ここまでは、「大企業の話」で、あまり中小企業が興味を持てることはありません。強いて言えば、大企業から接続を求められる場合があるので、それに対応する準備が必要だ、という程度です。
なのですが、中小企業にとってこのVertical Interoperabilityは別の面で重要です。大企業がどちらかと言えばサプライヤー寄りのInteroperabilityを重視しているのとは逆で、中小企業は顧客との相互接続性が会社の成長の鍵になるからです。このことについては、従来からこのコラムでも何回も取り上げている「デジタル化による顧客接点の改革」に相当します。これを充実したものにできれば、顧客と会社が相互に・高度に接続され、顧客にとって無くてはならない存在になることができ、それが継続的に続くことになるので、競合他社への流出も減らすことが可能となるからです。
Interoperabilityという言葉は、10年も20年も前から使われてきた単語ですが、今回偶然にも超大手のSAPがVertical Interoperabilityを打ち出してきたことは、今後の一つの潮流になる可能性もありますし、それがIT業界全体を引っ張り始めると、中小企業のIT化にも好ましい影響を与えるでしょう。
今回のSAPブースでは、それを具現化する機能は紹介されませんでしたが、一つの方向性として強化されてゆくかどうか注目に値すると感じました。
ハノーバーメッセに関する詳細なレポートは、お問い合わせを頂ければお渡しできるように準備しています。当社サイトのお問い合わせページ(https://www.belken.jp/contact/)からご連絡を頂ますようお願いします。
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