買ってもらえるかどうか
新規ビジネスを始める時、まず何より大事なのは「買ってもらえるかどうか」の見極めです。それが見極められた商売はその時点で勝ち身があると言えます。逆に、もしかしたら買ってもらえるかもしれないけれども、まだ本当に売れるかわからない商材について、店舗の整備や人の雇用など、本格的な商売に備えた「売れたときの仕組み作り」に先におカネを使ってしまうというミスをする起業家が後を絶ちません。
ちょっと売れたからと言って、それが持続的に続くのか、あるいは単なる流行なのか。まだ見極めがつかないうちの投資はまさにリスクそのものです。ビジネスが最も脆弱なのが立ち上げ段階であることは良く知られていますので、ほんとうはよほどの手応えがない限りおカネを使ってはいけないのですが、それを見極めるのが実はなかなか難しいと言えます。
他方で顧客は、気に入った商材を見つけた途端、「欲しいものがすぐに届く」ことを貪欲に要求しだします。供給者がリスクを避けつつ慎重に提供ようとする商材の良さを認めるや否や「いま、すぐ、ここで、ほしいだけ」という要求を突き付けてくるのです。
供給者はみすみす機会損失を起こしてしまうことを避けたいと思うので、リスクを取って先回りしようとするのですが、結果として顧客に振り向いてもらえないと、それが自らの首を絞めることにつながるというわけです。ではどうすれば良いのでしょうか?
一つの考え方として、3カ月間にわたる翌日、翌週、翌月の売上高予想を立てておき、向こう3日、3週、3か月にわたって実績が予想を上回るかどうかを見極めるという確かめ方があります。移動平均で2勝1敗以上の成績が1ヶ月以上続くようであれば、それは手応えと呼んでも良い反応が市場で確認されたと言えるでしょう。
あるいは、アンケートや対面販売における顧客のコメントや反応を一つずつ見極めるという方法もあります。個別事例の成果を検証しながら積み重ねられるので、平均値を追いかけるよりも具体的な長所や要改善点を洗い出すならこちらのほうが手っ取り早いかもしれません。
このような「買ってもらえるかどうか」を確かめる取り組みを経て、ようやく起業家はおカネを使って仕組み作りをするという意思決定ができるのです。その意味で、起業家としての成否を決めるのが、「売れるかどうか」の見極めであるという考え方は正しいのです。
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