アジアビジネスにおける「華僑・華人」の存在感
正確な統計はないものの、世界中に「華僑・華人」と呼ばれる人々は5000万人以上いると言われています。一般的な定義としては、「現在の中華人民共和国(香港・マカオ含む)や台湾以外に住む中国系の人々」です。厳密に分類すると、華僑は「元々の国籍を保持したままで、海外に移住した中国系の人々やその子孫」、華人は「中国系の海外居住者で、居住国の国籍を持つ人々」となります。また、これらの人々は、現地社会において経済的・文化的に重要な役割を果たしていることが多いのが極めて大きな特徴です。
多くの華僑・華人のルーツは主に、現在の中華人民共和国の広東省・福建省・浙江省ですが、現在はどこの国に居住しているのでしょうか? 意外かもしれませんが、アメリカや欧州、豪州にも少なくない人々が住んでいます。しかしながら、最も多いのは地理的にも比較的近い「東南アジア」なのです。正確な公式統計はないのですが、一部公開情報ではインドネシアには約1000万人・タイには約900万人、マレーシアに約700万人、シンガポールに約300万人、フィリピン・ベトナムにはそれぞれ約100万人が存在していると言われています。
先ほど、「華僑・華人は現地社会において経済的にも重要な役割を果たしている」とお伝えしましたが、東南アジアの各国において、「華僑・華人企業のGDPへの貢献度」は下記のように極めて大きくなっている現状があります。これは各国における人口に占める華僑・華人の割合を考えると驚異的な数字なのです。
・シンガポール : GDPへの貢献率「約76%」
・タイ : GDPへの貢献率「約70%」
・マレーシア : GDPへの貢献率「約60%」
・インドネシア : GDPへの貢献率「約50%」
・フィリピン : GDPへの貢献率「約40%」
・ベトナム : GDPへの貢献率「約30%」
このように、「アジアビジネス」へ真剣に挑戦する際、【華僑・華人とのビジネス交渉】が必須となってくるのは明白です。華僑・華人の人々の思考方法は、当然ながら日本人とは大きく異なります。一例を挙げますと、日本型企業は「事前合理性(事前に充分な分析をした上で経営判断を行なう)」を重視しますが、華僑・華人型企業は「事後合理性(即断・即決して、臨機応変に問題に対処する)」を重視する特徴があるのです。このような【思考方法の違い】を認識せずに、いくら交渉しても継続的なビジネスに繋げることは不可能なのです。新年度も本格化するゴールデンウィーク明けを機に、「華僑・華人の観点から東南アジアビジネス」を真剣に始めてみませんか?
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