社長が持つべき経営計画作成時の重要視点
同族会社は、長く続く「歴史」の上に、現社長が向き合う「現在」が存在します。また、次世代を見据えた「未来」も考えなければなりません。
つまり、同族会社の場合、過去の歴史を正しく認識し、将来の方向性を見据えた上で、現在やるべき打ち手を考える、というのが経営計画を実現するための一番の近道です。
だからこそ、経営計画は社長自ら考えることが最も重要です。社長が経営の全責任を負うという覚悟で、経営理念・行動指針・経営目標を財務の視点を持って考えるからこそ、役員や従業員も納得して実現のための取り組みに集中できるのです。
逆に、経営計画を達成できない会社の多くは、中小企業診断士や経営コンサルタントなどの専門家が、社長の代わりに経営計画を作っています。
見た目にはカッコイイ経営計画ですが、内容は一般的なものだったり、具体的な内容が伴っていないことがほとんどです。当然ながら達成されることはありません。
だからこそ、社長自らがアタマに汗をかき、カッコよくなくても良いので、自分なりの表現でまとめることが大切なのです。
会社のリーダーは言うまでもなく社長です。社長以上に、会社の歴史や現在を理解し、進むべき未来を真剣に考えている人間は、この世に存在しません。
とはいえ会社経営は、社長一人でやっているわけではありません。世界情勢、日本の経営環境、地域経済などが原因で、うまくいかないこともあるでしょう。
そこで、社長が意識しなければならないのは、「コントロールできるもの」と「コントロールできないもの」を明確に区分するということです。
経営計画を作る上で大切なことは、自分がコントロールできない部分について、「〇〇になったらいいな…」という希望的な観測を織り込まないことです。
例えば、「自分を変えよう!」と思えば、自分さえ努力すれば変えられます。
一方で、世の中の流れや世界経済などのマクロの話は、残念ながらイチ個人では、コントロールできるレベルの話ではありません
このように、コントロールできないものは、一旦受け止め、その上で、時流をよく観察し、自分なりの考えを言語化するのです。
この「自分なりの考え」や「判断の基軸」になるのが財務の実務であり、社長の仕事なのです。
経営計画を作る上で重要なことは、コントロールできる部分にフォーカスして経営計画を練り上げる、ということです。
例えば、Chat GPTを代表とする「生成AI」やあらゆる業務を効率化して会社全体の生産性を向上させる「DX」などが、急速に成長しています。こういった、最新の技術、これから成長するものを活用すると、時流に乗るので成功しやすいです。
一方で、「世の中の流れ」と逆方向に向かう取り組みや、「世界経済」など、コントロールができない部分の取り組みは、そもそも「本当にその取り組みが必要なのか?」と自問自答することが不可欠です。
繰り返しになりますが、コントロールできない部分を一生懸命頑張るよりは、自社でコントロールできる部分をいかに増やすかという着眼点が重要です。
例えば、事業や商品、取引先、価格などあなたの会社には今、どれだけ自社でコントロールできる部分がありますか?
もし、あらゆることが自社以外の第三者によって決定されているのであれば、そこに「経営の自由」はありません。一刻も早くどこにフォーカスすべきかを見直すべきなのです。
その積み重ねが最終的に、真に「自立した経営」に繋がっていきます。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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