これからの時代勝ち抜くのは『愛され』、『共感される』企業
いい会社とは、どんな会社でしょうか?
少し前までは利益の出ている会社、一部上場している会社、大企業等の基準で見られていました。
しかし、最近では大手ファストフードやマンション建設の不祥事のように、お客様の信頼を裏切る出来事ばかりで大企業=いい会社とはお世辞にも言えません。
先日の横浜のマンション騒動でも、結局、担当者がやりたくてやったというよりは、『そうせざるを得なかった状況』があったと推測されます。
また、良い人財を確保する採用についても相変わらず、大企業や公務員の人気は根強いものの、結局、志望動機の大半は、潰れない、休みが多い、給料が高いなどの『条件重視』な動機です。
このような『条件』で良い人財を獲得するという採用戦略は、この先、少子化等の影響で、更に給料、休みを増やさなければ良い人財は獲得できなくなっていくでしょう。
従って、売上はそんなに上がらないのに人件費は上がっていくのです。
それではこれからの時代、どのようにして勝ち残っていけば良いのでしょうか?
私は、『従業員にも』『お客様にも』『社会にも』愛され、共感される会社を創ることが勝ち残る上で大きな戦略になると考えます。
それには、まずは経営者の利己主義では成り立ちません。
利他主義、即ち『相手の喜びを自分の喜びとして、その代償として売上、利益を得る』このことを経営の軸に置くことが大切です。
ディズニーのビジョンに『ゲスト(お客様)のハピネス(幸福)がキャスト(従業員)のハピネスになる』という言葉があります。
つまり、お客様を幸せにすることで、自分たちが幸せになれるということをディズニーはキャストのホスピタリティを通じて体現しているのです。
それには、まずは『従業員に愛され、共感される企業であること』が重要となります。
今や日本の産業の75%を占めるサービス産業が中心の我が国において、人から提供されるサービス、ソフト面の質がこれからの時代、業績を大きく左右するのは言うまでもありません。
ディズニーの言葉で、「人は誰でも世界中で最もすばらしい場所を夢に見、創造し、デザインし、建設することはできる。しかし、その夢を現実のものにするのは人である」という言葉を残しています。幾ら良いハードがあっても、最終的にはゲストの夢を叶えられるのは『人』だというメッセージです。
従って、まず大切なのは従業員が自社を愛せなかったら、心から自分たちの商品を勧めたり、心からのサービスを提供することは期待できません。
自社の考え方に共感できなければ、他人事で、仕事はやらされている事でしかありません。
そのようなスタッフからサービスを受けたら、お客様もスタッフの心が伝わらないのでまた利用しようとは思えなでしょう。
これでは、当然、生産性も上がらず、業績も上がりません。
その事をマーケットや競合の言い訳にして、社内の課題と向き合えずに値下げ戦略しか取れない企業が多い気がしてなりません。
それではどうしたら従業員に愛される、共感される会社になるのでしょうか?
・企業としての考え方に共感できる
・いきいき働ける職場環境
・やりたい目標が持てる
・成長を感じられる
・いい仲間、チームに恵まれている
・任せてもらえる
など様々なことが考えられますが、その一番、根幹にあるのが、『企業の考え方や文化』です。それは、経営理念かもしれませんし、普段の社長からのメッセージに込められている言葉に愛や共感が感じられるかが重要です。
従って『売上を上げろ!』というメッセージは意味を成しません。
そして更に大切なのは、それを書いてあるだけでなく、言うだけでなく、実践、体現しているか?が大きなポイントになります。
ホテルリッツカールトンのエピソードで、ある取引業者が、『自分たち取引業者にまで、ここまで大切にしてくれるホテルだから、是非、娘をこのホテル働かせたい』といって、就職させたというエピソードを聞いたことがあります。
『取引業者を大切にする』と言っているだけではダメで、実践しているからこそ起こった出来事です。
このことは、先述の採用についても『条件』で就職したのではなく、このホテルの考え方、文化に共感をして採用できた事例でもあります。
このように『自社の考え方や文化』の浸透や体現化によって、採用、従業員満足、顧客満足、ロイヤリティ、モチベーション、生産性、付加価値、コンプライアンス、業績にまで、全てに繋がってきます。
まさに、企業としての『あり方』が問われています。
それには、まずスタッフが自社を愛せることであり、そのようなスタッフからサービスを受けるお客様が喜び、その結果として業績も上がり、社会にも貢献できる。
このようなホスピタリティを軸とした企業戦略を言うだけでなく、体現できなければこれからの時代を勝ち抜くことはできません。
勝ち抜く企業になるヒントは競合ではなく、自社の中にきっとあります。
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