「人を呪わば穴二つ」の闇に落ちないための関係性の築き方
「最初はいい人だと思ったんですが、だんだん、ちょっとこれは…というようなことが目につくようになったんです」と、これは先日お会いした方の言葉。人材採用でもコラボ相手でも、もっと言えば恋愛でも同じことが言えそうです。最初は双方が良い面を見せるので、これ以上ない人材あるいはパートナーが見つかったと思えるのですが、だんだんアラが見えてくる。
そんな風になったら、どうしますか?
誰でも経験のあることでしょう。当初思っていたイメージと違っていたという理由で関係を断ってしまうか、いやいやそんな細かいところに目くじら立てると「器が小さい」と思われてしまうから、見て見ぬふりをしよう、と思うのか。
関係を断つというのは簡単です。怒りに任せて「なんでこちらの期待通りに動いてくれないのか」と言いたいことを口にする。そういう経験のある方もおありになるのではないでしょうか。そういっている私も例外ではありません。だから、この件、すごく気になります。
ドラえもんに登場するジャイアンが粗暴なのは、ジャイアンのお母さんがジャイアンの耳を引っ張ったりつねったりして言うことを聞かせようとしたから。これ、負の連鎖のわかりやすい一例です。人は、他人にやられたように、別の他人に対してふるまいます。それを食い止めるのは、どうすれば良いのか。
他人をディスってともに深い穴に落ちていく闇よりも、ちょっとのことは大目に見て、明るく楽しい毎日を送ったほうがいい、これは誰もが思うことでしょう。人を呪わば穴二つ。呪ったところでロクなことはありません。
でも明るく楽しく何事もないかのように過ごす日々の陰で、押し殺されたフラストレーションがたまっていたら、これはこれで問題があります。いずれメンタルやられるか、大爆発を起こす。だからこれも放っておいてはいけないのです。
ではどうするのか。
たとえば、当初その人材やパートナーに抱いたイメージを、目の前に現れた現実とすり合わせて調整していくという方法は、どうでしょうか。
人は自分が完璧でないのを知っているのに、他人には完璧を求めがちです。雇用やコラボなどビジネスの関係でいえば、他人に対してやってほしいことがあるから、なおさらそういう傾向が生まれます。
人材採用にしても、あれもこれも何もかもできる人が欲しい。だから、いつまでも採用ができないという会社に関わったこともあります。人事担当は「この人なら」と連れていくのに、現場は「その程度のスキルならいらない」と拒絶する。人が足りないから現場が疲弊しているのに新しい人が入ってこないからさらに現場がすさみます。だから、この考え方はすぐに変えないとまずい。
大切なのは必須能力と育成能力を分けること。そして、互いの強みや弱みを理解し合える環境を作ることです。完璧な人間であることを求められると、真面目な人ほど完璧な人間のそぶりをします。そうしないと排除されてしまうのではないかという、ささやかな恐れが顔を出します。
キズをなめ合う関係は良くないですが、弱みをフォローし合える関係は居心地の良い職場づくりの重要なカギになります。そういう空気があれば、恐れることなく創造的にふるまえるはずです。
自分の可能性を試せる職場は、それがどんな可能性であれ、働く人にとって嬉しいはずです。そういう職場は業績が絶対によくなります。いや、すでに良いはずです。
さて、貴社はいかがでしょうか。
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