「国際ビジネス」の精度を上げる法則 ~【成果←再現性←言語化】~
2月後半からサッカーや野球などのプロスポーツの公式戦やオープン戦が本格化。各チームのキャンプ取材情報がメディアで報じられていますが、「強いチーム」には共通する法則があると感じます。それは、プレイする各選手が「同じ絵や展開」を描いてプレイしているという点です。
「サッカー」であれば、パスを受けた後に、どのようにして相手ゴールに迫っていくか?という想像。状況によっては攻撃的なドリブルが必要となるかもしれませんし、守備的に時間をかけてボールをキープすることが望ましい場面もあるでしょう。また、「野球」であれば、カウント次第で(次に)どのようなボールを投手が投げるのか?を守る野手全員に原則として共有できていることが重要です。
「サッカー」の先進国であるスペインでは、各戦術が細かに【分類/定義】されています。例えば、代表的な個人戦術の1つはドリブルですが、日本語では「ドリブル、ドリブル!」とコーチ陣から掛け声があるだけです。しかしながら、スペインでは「リスクを負って突破するドリブル」を【Regate(レガーテ/相手をかわす)】、「数的優位やスペースをつくるために相手を引き付けながら運ぶドリブル」を【Conduccion(コンドゥクシオン/運転)】とそれぞれ定義づけされているのです。選手にとって、どちらが動きやすい指示であるのか?は明確です。
また、「野球」世界一である日本には、知の巨匠:(故)野村克也氏の「ID野球」が存在します。その中で特徴的なのは、ホームベース周辺のゾーンを81マス(縦:9x横:9)に分割し、それぞれのゾーンに番号を付けて使い分けていることです。また、意図的に投手がボールゾーンに投げる場合、通常であれば「外せ!」というだけですが、「ID野球」では2つの別の言葉が存在します。スクイズ等の機動力を使った作戦を阻止するために外す球を【ピッチドアウト】、打者にボール球を振らせるように誘い込む釣り球を【ウエストボール】と名付けられています。野村氏は「金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流」と言いましたが、野村氏の下で指導を受けた選手が2021年シーズンでは6名(12球団中)も監督になっているのです。これは、「言語化」することで「再現性」が生まれ、指導者育成という「成果」に繋がった分かり易い例ではないでしょうか。
ここまでスポーツについて述べてきましたが、「国際ビジネス」に関しても同じことが言えます。何となく先輩社員が(日本)国内ビジネスで対応してきた手法を真似て国際ビジネスに対応しているビジネスパーソンを多く見かけます。しかし残念ながら、そのような企業の殆どの国際ビジネスは上手く行っていないのです。市場環境やビジネススキームが大きく異なり、国際ビジネスで重視しなければならない基本原則に「気づくことすらできていない」ことが大きな要因です。我々がご支援した企業でも、【国際ビジネス特有の事象や対応手法】を「言語化」して理解してもらうことで、売上や利益が飛躍的に拡大した事例が多くあります。また、「言語化」することで、これまで属人的であったノウハウが他従業員にも共有化され、誰でも(ある程度は)対応できるようになるのです。まさに「言語化」することで生まれた「再現性」と言えるでしょう。この「再現性」は当然ながら企業の「成果」に直結します。
外部環境に応じた事象や手法の「言語化」から、改めて国際ビジネスを始めてみませんか? これまでとは異なる「新たな世界」が開けるはずです。
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