戦略にふさわしい人材を採る
このところ、新卒・中途の区別なく人材獲得に取り組む企業が増えたと感じます。かつてのバブル景気時代のように、頭数さえ揃えれば・・という気配もなきにしもあらず、とさえ感じる勢いですが、他方でバブルの頃と明らかに異なるのは「中高年まで含めたオンライン転職市場が整備されていること」に代表されるように、せっかく採った人材がほどなくして退職してしまうリスクが大きくなっていることでしょう。
一昔前まで、転職と言えば求職者側からの働きかけが主体でしたが、現在では「スカウト」と呼ばれる企業側からの働きかけや、それに伴う採用条件の厚遇化もあって、数年単位で職場を移る事例は決して珍しくないそうです。賃上げの勢いが今一つ高まらない中で、能力のある人が転職に活路を見出すのはわからなくもありません。
そのような環境下で、企業にとって失敗しない採用とはどのようなものなのか。いつの時代でも言えることは「戦略と整合した人材募集」そして「入社時に高い納得感を得られる採用」を心掛けることだと言えます。自分がどの程度その会社に求められているのか、新卒であっても中途であっても、採用された人財は鋭敏にその雰囲気を感じとります。ヨーイドンで競争を強いられる駒のうちの一人にすぎないのか、掛け替えのないタスクのため、特に採用された一人なのか。
その感覚は、その人財にとって会社(もしくはタスク)に対するロイヤリティの源泉となります。新しく仕事を始めた人であれば、どこの誰に対しても就職先がどんな会社で何をしているか、までは誰でもが説明できることでしょう。でもその会社がどういう戦略に基づいてどういう取り組みをしており、自分がその中でどういう役割を期待されているか、それに自分がどの程度納得できているのかまでしっかりと言葉にできる新人というのはなかなかいないと思います。
即戦力として採用される中途人材の場合は言わずもがな、できることならいわゆる新卒人材についても、そこまでの目配りと、高い納得感を保証して採用することで、ごく短期間で辞めてゆくような事例は確実に減少してゆくことでしょう。いつの時代も、企業と人材の関係を固く結ぶのが信頼と納得であることに変わりはないからです。
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