「ITリテラシー」と「興味」の不都合極まりない関係
かなり頻繁だと思いますが、いわゆる「ITリテラシー」について多くの方が「無い/低い」と言い切る場面を見かけます。いわゆる謙遜も含まれていると思うので、皆さんが全員心の底からそう思っているとは思えませんし、私から見てもそこそこデジタルに関する知識や経験がある方も含まれているので、感覚的には半数程度は「常識的なリテラシーはある」と受け止めています。それでも半数に近いかたが、いわゆる苦手意識を表明していることになるので、それなりに比率は高いでしょう。これは、色々な調査結果を見るにつけ、諸外国に比べて高い傾向にあるので、私の肌感覚とだいたい合っていると認識しています。
ITリテラシーが低い、という言葉はかなり昔から使われており、さらに官民挙げて対策のために、かなりの投資をしてきたり税金が投入されたりしてきたにも関わらず、このような状態がずっと続くのは全く理解も納得もできませんね。単純脳の私に言わせれば「低いと思っているなら高めれば良い」と、考えるまでもない言葉になってしまいます。ところが、ITリテラシーに関する様々な諸外国との調査結果を見ると、「ITに興味も無い」という状態であることも浮き彫りになっていることを知りました。どなたかに叱られるかもしれませんが、短絡的に一言で言えば、「ITリテラシーが低いと思っている。それに、ITに興味すらない。」という状態です。これではいくら政府が旗を振っても、10年単位の時間が経過しても、改善する訳はありません。
特に社長本人が「ITに興味すらない」という状態は大きな問題です。知らない・経験が無い、というだけなのであれば、そのような知見のある社員を見つけて様々な提案をさせることができますが、興味すらないのであれば、そもそも何もアクションを取る必要性も感じていないはずなので、何もしないまま時間だけが経過する、ということになります。つまり、この「ITに関する興味の有無」が日本企業のデジタル化を遅らせてきた根本原因と言い切れると思うのです。
そう考えてみると、今までお会いした多くの社長さんたちの中に、デジタル化の方針を立てて計画を立案する過程で部下に丸投げしようとする人が実に多かったことにも合点がいきます。社長が最後まで経営として関与し続けないとうまくいかないことは、このコラムでも私の著書でも口を酸っぱくして主張してきましたが、興味が無いと根気も続かないので途中脱落は必然ですね。
逆に本当にリテラシーは無くとも、人一倍の興味がある社長の元では、必要に応じて専門家も交えたデジタル化の活動が非常に活発化しています。若く感度の高い社長が率いる会社がどんどんDXを推進しているのは、そのためでしょう。
最初は知識も経験も無くリテラシーの低い状態の社長であっても、知識欲旺盛の方の場合はデジタル化の活動もどんどん進む。逆にそうでない場合は、社員に丸投げすることはあったとしても、途中で空中分解し、成果や結果はほとんど残らない。中小企業のデジタル化の命運は、この2つの両極端のパターンに別れていくのかもしれません。
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