社長肝入りの一手が、社員達の手抜きによって失敗してしまうケースが多い企業が視るべきポイントとは?
「誰だ! こんな事をしたのは?」
「これだけはやってはいけないと言ってたのに!」
ある企業で、社長が激怒されました。
その理由は、肝入りの一手をダメにされたから。
社長は自信満々でした。
「こんな事、どのライバルもやってないだろう」
「きっとこれが確立できれば、会社の業績を大きく上げられるに違いない」
しかし、不安な点が1つ。
これだけはやってはいけないという注意点がある事。
社員やスタッフには、厳守してもらわないと成り立たなくなってしまう。
いや、成り立たないどころか、逆に会社にとって大きなマイナスとなってしまう。
「いいか、君達。会社が次にうった一手の狙いはこういうことなんだ」
「もし、これが確立できたら大きな前進となる」
「しかし君達ももう判っているように、これは注意点が守られているからこそ成り立つもの」
「だから、これだけは絶対にやってはいけない」
「厳守するように」
「ハイ!」
これだけ言えば大丈夫だろう・・・
ところが後日
社員、スタッフ達の油断によって、社長が恐れていた「やってはいけないこと」が発生。
「あれだけ強く言ったのに・・・」
多店舗型ビジネス企業の社長には、このようなご経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このような
「社長の肝入りの一手をうったのに、社員、スタッフ達の油断と怠慢、そしていい加減さによって確立できず、あきらめざるを得なくなった。」
といったケース。
数回程度ならやり直せばいいだけの話ではありますが、問題なのは、何回も繰り返されていく企業です。
そうなってしまいますと、社長の会心の一手は、会社の業績、知名度を上げていけるどころか、逆にお客様にとっては
「えっ何これ?」
「期待させといて・・・これ?」
「ひどいなこの店は」
「最悪だ」
「もうここに来るのはよそう」
更に会社の価値を下げる事態へと発展しかねません。
なぜ社長がうった一手がうまく軌道に載らないのか?
その原因を突き止め改善できない限り、会社はいつまで経っても飛躍していくことはできません。
その後も同じ過ちを繰り返してしまうだけです。
ここで社長がとる判断として多いのは、【人の力に見切りをつける】 です。
「必ず誰かのせいで失敗となってしまう」
「人の力という不安定な要素に頼っているからいけないのではないか?」
「これからは人の力よりも正確な機械やシステムに頼っていこうか?」
「外部に発注して、人要らずのシステム化、無人化を進めていこう」
私はこのような判断をすべきではないと言いたいわけではありません。
人より正確な機械に頼る。
それも1つの経営手段です。
これが正しいか、正しくないか?
それは企業によって違うからです。
ただ、私がここで多店舗型ビジネスの社長に質問したい事が2点あります。
それは
「社長、本当に人の力に見切りをつけてしまっていいんですか?」
「他社との差別化を図っていく上で、人以外の強みが御社に有りますか?」
多店舗型ビジネスの武器といえば人です。
他の業態に比べて働く人が多いからです。
・そんな他社には無い強みを見限ってしまっていいのでしょうか?
・本当にもう人の力を業績につなげられる策は無い!と言い切れるのでしょうか?
現実に、多店舗型ビジネスにおいて
「人の力に見切りをつけて、システム化を外部に頼ったり、無人化を進めて行こう」
という企業は多いです。
もし
「我が社には人以外にこんな強みがあるんだ!」
社長が胸を張って言えるのでしたら、どんどん進めるべきでしょう。
しかし逆に
「我が社の強みは人なんだ!」
という企業でしたら、私は人の力に見切りをつけることはお薦めしません。
お客様がなぜ
・そのお店をまた選んでくれるのか?
・その企業をまた選んでくれるのか?
それは、他社には無い強みがあるからです。
人以外に強みが無いのに人の力を見限ってしまいますと他社と差別化が図れません。
その場合、お客様の評価は
「どの店も一緒だよ」
「この店でいいでしょ」
です。
はたして、そんな企業が他社よりも業績を上げていけるのでしょうか?
私が多店舗型ビジネス企業の社長にお薦めしたい事は一つです。
【他社よりも人の本気が得られ続ける組織に変える】
です。
実際に人の力で差をつけていってる企業がどんな過程を踏んだのか?
それは外野から
「社長、もう人の力を信じるのは止めましょう」
「結局誰かに失敗させられてダメになるのがオチですから」
「社員やスタッフの力を信用してはいけませんよ」
そんな声に対しても、社長は
「いや、必ずうまくいく方法があるはずだ」
「私は諦めないぞ!」
「私を信じてついてきなさい」
「必ず誰もが本気を出し続けられる組織にできるはずだ」
「どうしても信じられないというなら無理に会社に残れとは言わない」
「ただ、私は最後の一人になっても追及をやめないぞ」
そんな不退転の意志を貫いた社長に待っているのは
「そうか、こうしたらいいんじゃないか?」
「うまくいった」
「これだよこれ!」
となるのです。
そして周囲からはこんな声が出始めます。
「一体あの会社はなぜあんなに成長できているんだ?」
外部からはその成長の秘密は見抜けません。
秘密を知っているのは社長だけだからです。
「どこかに答えがあるはずだ」
会社組織において、諦めずに目標達成の糸口を見つけようとすること、
それを誰よりも貫けるのは社長以外にいません。
そしてまた「もう人の力に頼るのはやめよう」と決められるのも社長なのです。
そこでの判断が、その後の会社の命運を変えることになるのは間違いありません。
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