『大木』の冬支度
床暖房の季節
鹿児島県は全国の中でも温暖な気候です。初めてお見えになる方は南国イメージの強すぎる方がいらっしゃいますが、決して常夏ということはなく冬もちゃんとあります。日本らしい四季はあるものの、感覚的には夏だけが長くて春も秋も冬も短い感じです。最近では本州の他の地域でも気温が高めで、似たような傾向は見られますが、どうやら温暖化の影響は寒冷な地域で現れやすいのだそうです。
鹿児島の冬は短いのに加えて晴天率が高く、寒い時期でも雲ひとつないような日も珍しくありません。自宅には床暖房ができる空気式ソーラー《そよ風》が搭載されていますが、冬場の太陽熱利用にはもってこいの気候といえます。
今年もそろそろ《そよ風》の床暖房のお世話にある季節が近づいてきました。先日2階バルコニーに出た際に、建物の南側の楠の木が大きくなって屋根に陰を落としているのに気がついたのです。これまで4年ごとに庭師さんたちに剪定をしてもらってきましたが、今回は3年目にして建物の高さを超えてしまったようです。幹もずいぶん太くなって徐々に成長スピードを上げてきた感じです。
ご存知の通り、楠は常緑樹で冬の間も葉っぱが繁っています。日中、屋根に陰が落ちて日陰になってしまうということは《そよ風》の集熱がうまくできないということになります。せっかくの太陽の恵みを、受け取りきれないのはもったいないので頑張って自分で剪定することにしました。
↑空気式ソーラーシステム《そよ風》の床暖房(冬場)の動作イメージ
《そよ風》の詳しい仕組み・特徴は環境創機さんのウェブサイトをご参照ください↓
環境創機株式会社 https://www.kankyosouki.co.jp
↑動画 【BEFORE屋根】10/21 16:00頃の楠の陰(屋根に大きく陰がかかっています)
↑【BEFORE外観】道から見るとすっかりアフロヘア状になっています
動画を撮影したのは10/21でした。自宅の緯度・経度と日時から、その時間の太陽光線と屋根の関係性は以下のような状況。推定ですが、楠の木の高さは9m近くはあったものと思われます。
↑10/21 16:00頃の太陽高度と屋根面の関係
↑10/21 16:00頃の太陽方位と屋根面の関係
「恵み」を受取るための冬支度
問題はどうやって剪定するかでした。いちばん切りたい楠の木の芯のところは、2階のバルコニーからもかなり距離があります。カットすべき場所の高さが高くて太いのも問題です。とても高枝切りバサミなどでは太刀打ちできるサイズではありません。完全に育ちすぎです。すこし放置し過ぎたようです。
庭師さんたちは、みんな身軽に木に登ってきて手ノコで切ってしまうのですが、私の場合はそうはいきません。そこで、秘密兵器の登場となります。剪定道具でも最大級の大物です。買った時点では「ここまでのものが必要なのだろうか?」という気もしていたのですが、こういう時に必要なのだというのが今回よく分かりました。(前回の剪定の様子は、オリンピックイヤーの『庭木剪定』 でご覧になってみてください)
↑こんな道具が必要です(刃渡は右のが40cm左のは65cmもあります)
これらの道具はかなりの重量で、値段も高いです。そして取り回しもしづらく、かなりの腹筋背筋の活用が求められます。しかし、遠くの太い枝をギコギコ切り落とすのには、その真価を発揮します。刃渡りの範囲であれば、切る対象の太さはほぼ無制限といえます。
切り揃えたい高さは2階バルコニーの床から3m強といったあたりです。屋根の軒先より上になります。2m超の大きめの脚立を持ってきて、てっぺんにまたがりギコギコやることにしました。これならなんとかやれそうです。
↑カットした枝がこんなにでかいです。(3m以上あります)
↑動画 【AFTER屋根】10/28 16:00頃の楠の陰(屋根に陽が当たるようになりました)
↑【AFTER外観】かなり切ったのですが、意外と外観はあまり変化がありません
↑これで今年の冬も集熱バッチリです。
便利さのコスト
鹿児島市では、個人で剪定した家庭の剪定枝の処分について無料の戸別収集があります。事前申込制で、申込から1週間ぐらいで自宅に収集に来てくれます。ただし、準備のルールとして剪定枝はひもで縛るか45リットルまでの透明袋に入れて、収集日当日の朝8時30分までに門前等に出すことになっています。回収時の立ち会いは必要ありませんが、地元の人たちは剪定後に枝を細かく切ったり袋入れをする作業が面倒なようで、さっさと庭で燃やしてしまいます。
収集した剪定枝はチップにして市の施設で雑草防止材などに活用されるようです。小口の収集を行なってでは採算が合うとは思えませんので、税金が投入されているはずです。自宅では野焼きはしませんから、葉っぱと小枝は袋に入れて収集をお願いしました。太めの枝はカットするのも一苦労なので、残しておいて薪ストーブの焚き付けにすることにしました。
↑葉っぱだけで21袋も出しました
↑枝は置いておいて薪ストーブの焚き付けにします
その後、申込んでから1週間後に回収に来てくれました。出すほうとしてはありがたいのですが、たった21袋を回収に来てもらって運んで、粉砕してチップにしても大した量はできないでしょう。そして、いったいこの事業にいくらのコストがかかっているのか?考えたらゾッとします。
また、このような事業では「受益者負担の原則」には沿っていません。同じ家庭が何回頼んでも無料なのです。そう広くない土地に大きな木を生やしているわが家としては毎度毎度、剪定枝を回収に来てもらうのはちょっと気が引けます。粗大ゴミのように「受益者負担の原則」に沿って有料(といっても鹿児島市は350円とか700円とかですが)のほうが、頼みやすい気がします。
最近、問題視されることが増えてきた「再エネ賦課金」や「エコカー補助金」など、多くの人の負担を一部の人が受取る方式は政策的にあるべき方向に誘導すべく実施されるものですが、やはり「受益者負担の原則」には沿っていません。「道路特定財源」がいつのまにか「一般財源化」されてしまったり、何の財源が何で賄われているのかよく分からなくなっています。そして多くの人の負担のうち、かなりの額が「事務費」に消えている点も問題になっています。新しい制度に係る「不正」も報道されていたりして、ネガティブな面で世間の注目を浴びています。
まあ、そういった社会的な諸々は横に置いておいて。 大きくなった楠の剪定はちょっと大変でしたが《そよ風》の集熱効率もよくなり、薪ストーブの焚き付けも増えました。寒くなる前の外作業は暑くもなく寒くもなくて気持ちいいものです。近くの小学校からは運動会の練習の声が聞こえてきます。こういう作業も季節感のひとつです。
「何にも手がかからないけど恵みもない」よりも、「それなりに手がかかるけど恵みいっぱい」のほうが、やはりいいと思えます。それも、わが家の場合はなんとか手入れが出来るようになっているからだと言えます。後々手入れが施せるようになっているかどうかは大切な要素です。
社長の会社では、後の手入れのことを行うことを想定して住まいの提案をされていますか?まさか、後の手入れをボヤかしたり無いものとしてはいないでしょうね。
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