アジアの「新興富裕層」はどこにいるのか? ~日本企業が目指すべきターゲット~
「2,516,500人」。これは2023年10月の訪日外国人数の推計(日本政府観光局発表)です。新型コロナウイルス感染症拡大後初めて、コロナ禍前(2019年)の同月数字を超えました。確かに最近、百貨店やレストランでも外国人観光客を目にする機会が増えつつあります。皆さんの行動エリアにおいても、このような印象があるのではないでしょうか?
縮小する国内市場を成長著しいアジアの需要を取り込むことで補っていこう! このキャッチフレーズを聞いて久しいですが、「もう一つピンとこない」という方も多いのではないでしょうか? その要因として、「アジアの富裕層が『どこ』に、『どれぐらい』いるのか?具体的に分からない」ということがあります。今回は、この「アジアの新興富裕層」についてお伝えしたいと思います。
まず初めに「富裕層」の定義についてご説明します。一般的には「世帯当たりの年間可処分所得が3.5万米ドル以上」を指します。しかしながら、今回は「日本企業が目指すべきターゲット」としての「新興富裕層」について考えたいと思いますので、上位中間層も含めた「世帯当たりの年間可処分所得が1万米ドル以上」と定義します。まさに、この層こそ日本企業が取り込んでいくべき需要のターゲットなのです。
では、周辺国の「新興富裕層」の割合は各国の世帯人口のどれぐらいの割合なのでしょうか? まず参考となるお隣の国「中国」の割合は53%。この割合とほぼ同じのが、「タイ(48%)」と「フィリピン(48%)」になります。この約半分の割合よりも低いのが、「インドネシア(31%)」や「ベトナム(25%)」となっています。一方、この中国よりも高い国が、「シンガポール(95%)」と「マレーシア(80%)」となっているのです。この2ヶ国は別格と考えてよいでしょう。最近、一躍注目を浴びているインドネシアやベトナムの市場は「まだまだこれから」という位置づけではないでしょうか。
上記の統計データを目のあたりにされた印象は如何でしょうか? シンプルに「アジアの富裕層をターゲットにする」という言葉を頻繁に耳にしますが、客観的データを参考にして「自社製品・サービスの顧客となる市場」を詳細に見極めることが重要なのです。最初の判断ミスは、貴重な自社の工数と費用を無駄にしてしまいます。これを機会に、海外市場における自社の「ターゲット先」について、じっくりと考えてみてください。
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