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大手と組むためのツボ

SPECIAL

オルタナティブ経営コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

様々な経緯から、大手企業とアライアンスを組むことになってしまったという経験をお持ちの方は、もしかしたらあまり多くないかもしれません。圧倒的に多いのは大手企業の下請けに納まるというパターンだろうと思いますが、それでもなお技術特性や市場からの信頼度、あるいはビジネスのニッチさなどの理由により、大手企業と対等以上の関係でアライアンスを組む中小企業というのも確実に存在します。

この関係性は、拠り所とする技術や市場に大手が入って来られないニッチさがあればそれで良いのか、というほどカンタンな話ではありません。大手企業からすれば、それが魅力的なら買収を、買収が面倒なら内製化を検討するという算段も当然働くからなのですが、にも拘らずアライアンスをしっかりと保持できている事例が世間には少なからず存在します。

大手と組む上では、そのような防衛線をしっかりと張れるかどうかがビジネスをサステナブルにするためのカギになってくることが多いと言えます。そこでポイントになるのが戦略性に富んだ思想や理念の世界で大手企業としっかり渡り合えることです。たとえば環境分野の事業で言えば、脱炭素要請への対応を短期・中期・長期の視点でどのように考えるか、ESG投資家の期待にどう応えるか、さらには人材育成を社会課題として語れるかといった点で、大手企業の社員を凌駕するだけの論陣を張れるかどうかがカギになる、ということなのです。

企業経営においてはその規模の大小にかかわらず、思想や理念といった部分は経営者の専管事項です。これは大企業といえども同じであり、どんなに大きな会社であっても副社長以下はトップの思想や理念を理解して、それに沿って行動する責任を負う立場に置かれます。

他方でいくら中小企業であってもトップはトップですので、思想・理念の世界でしっかりとした論陣を張ることができれば、大手との交渉においても主導権を握ることが可能となります。つまり技術についても市場についても、経営者が先進的な発想で議論ができるかどうか、という点が成否を分ける分水嶺になるのです。

昨今ではオープンイノベーションの効用が声高に叫ばれ、大企業も以前にくらべると自製・内製化にこだわる気配が薄れてきたように感じられます。特殊な技術や市場を持つ中小企業にとって、大局的にはこれまでにないチャンスの時代が来ているのですが、それだけに思想や理念の世界におけるトップの交渉力がかつてないほど重要になってきていると言えるのです。

 

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